アカデミックプラザ
米こうじ代替品の開発
テーマ
機能性食品
研究機関名
熊本高等専門学校 生物化学システム工学科 弓原研究室
代表者名
弓原多代
発表概要文
味噌、醤油、清酒などの我が国伝統的な発酵食品には黄コウジ菌 Aspergirus oryzae が非常に重要な役割を担っており,国菌ともされいる。これらは米,麦などの穀類に増殖させることで米(麦)麹となり,上記発酵食品の製造に用いられる。しかし黄コウジ菌は暑さに弱く,南方の九州では増殖,働きが弱い傾向にある。そこで中九州以南の地域では,比較的高い温度でも安定に発酵,活性がある黒コウジ菌 A. kawachii、沖縄では泡盛菌 A. awamori などが育種され使用されている。これらの菌は生酸性が強いため,他の雑菌の生育を押さえることで安定な発酵に寄与しているが,発酵製品の味にも少なからず影響がある。海外にも様々なカビ類微生物による発酵食品があり,インドネシアのテンペ(Tempe),フランスのカマンベールチーズ(Camembert chees) などは安全性が高いカビ類発酵食品として知られている。そこで当研究室では, 米コウジの代替品となる可能性,また新規発酵食品への発展性が無いかを検討するため,テンペ生産菌Rhizopus oligosporus およびカマンベールチーズ生産菌 Penicillium camemberti を用いて,米テンペ,米カマンの製造を試みたのでこれを紹介する。テンペ,カマンベールチーズは共に非常に有名な発酵食品で科学的知見も多々あるが,本研究ではタンパク質ではなく主に炭水化物を主成分とする米を基質として発酵を試みており,新しい学術的知見も得られると考えている。