FOOMA JAPAN 2025 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

生物資源を活用した機能性食品の開発
~天然素材の多機能性に着目した新たな活用方法を見出す取り組み~

  • 口頭発表あり

2025年06月13日(金)13:40~14:10

テーマ

機能性食品

研究機関名

九州大学大学院 農学研究院 森林圏環境資源科学研究室

代表者名

清水邦義

発表概要文

【九州大学森林圏環境資源科学研究室の取り組み】 人の心 ・ 体に配慮しつつ自然を上手に使って持続的社会を構築する時代。限られた資源をどのように活かせば環境に配慮しつつ住みやすい持続型社会を創り上げることができるのか?九州大学森林圏研究室は、ヒューマンヘルス、プラネタリーヘルスを命題に、社会実装を指向した研究を行っています。常識に捉われず地域資源、天然素材の個性的成分に機能を見出し、機能性成分の解明(成分分析、抽出、成分単離同定、構造解析)、作用機序の解明(in vitro機能解析)、ヒトを対象とした臨床研究といった様々な角度から機能性を評価し、『ワンストップ総合研究』で商品に新たなエビテンス=付加価値をつけています。(図1) 【機能性食品に関する研究】 機能性食品においては、どのような機能性や有効成分が含まれているか、また、それをヒトが摂取した場合、有益な効果が得られるかなど、有効成分の栄養生理学的評価に関する研究を行っています。また、美白や抗老化などに対して、化学的および生物学的なアプローチでこれらのメカニズムを解明し、新しい機能を持った天然素材の開発につながる研究を行っています。 【機能性表示食品の届出が完了した社会実装事例】 エノキタケ (学名:Flammulina velutipes)の研究成果は、美容業界では世界的なトレンドとして注目されている「ニュートリーコスメティクス」、即ち、『食が導くインナー美容』として大変興味深いものとなりました。 肌の潤いを保つエノキタケ由来のグルコシルセラミドを多く含有している『大木白雪919』経口摂取による皮膚水分量の改善効果について、健常成人30名を対象としたプラセボ対照二重盲検ランダム化並行群間比較試験を実施し、「肌の潤いを保つ」機能性について検証しました。 その結果、グループ内の前後比較では、プラセボ群 (p=0.650) で皮膚水分量の有意な差は認められませんでしたが、試験品群では有意な増加が認められました (p=0.001)。さらに、経口摂取前と4週間後の変化値の群比較では、有意差も認められました(p=0.033,r=0.39)(表1)。これらの結果から、『大木白雪919』には、皮膚の水分を改善するなどの生理的機能を有することが示唆されました。 この研究成果は、機能性表示食品届出の制度に活用され、『大木白雪919』は、機能性表示食品の届出を完了しました(受付番号:4240524016,商品名:白の潤いプラス,届出日:2024/11/19,届出番号:J807)。