FOOMA JAPAN 2026 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

加工食品の構造ダイナミクスを可視化する次世代評価技術
口頭発表テーマ:加工食品の構造ダイナミクスを可視化する次世代評価技術

  • 口頭発表あり

2026年06月02日(火)14:30~14:40

テーマ

衛生対策・品質管理(殺菌、洗浄、異物除去含む)

研究機関名

岐阜大学 応用生物科学部 食農生命科学科 食品加工学研究グループ

代表者名

西津 貴久

発表概要文

本研究は,加工食品の品質形成機構を分子レベルおよび咀嚼ダイナミクスの観点から統合的に解明することを目的とする.食品の品質は,加熱,冷却,凍結などの加工操作に伴って変化し,その背後では微細組織構造および分子状態の変化が進行している.しかし従来の物性測定法では,プロセス中の分子構造変化を直接的に評価することは困難であった.そこで本研究では,分子振動情報を取得可能なラマン分光法を活用し,加工過程における食品組織および成分挙動の可視化技術の構築を試みた.まず,大豆の煮熟過程を対象として,軟化現象に伴う成分溶出挙動を解析した.調理水中のラマンスペクトル変化を評価した結果,タンパク質構造変化および細胞壁由来成分の変動と高い相関が確認され,物性変化を分子情報から解釈可能であることが示された.さらに,減圧含浸法によるグリセリン導入系では,ラマン内部標準法により組織中溶質濃度の定量評価を実現した.その結果,溶質浸透量と凍結・解凍後品質との関係が明確化され,ドリップロス低減機構に関する知見が得られた.次に,食品のおいしさを支配する咀嚼過程の時系列現象に着目した.人工咀嚼装置を用い,食塊物性および香気放散挙動の経時変化を測定し,官能評価との関係を解析することで,「おいしさ」の可視化を試みた.咀嚼中の食塊構造変化が香気・呈味拡散挙動を規定し,感覚知覚のトリガーとして機能することが示唆された.本研究成果は,加工食品の品質評価技術の高度化,プロセス最適化,新規食品設計への応用に資する基盤的知見を提供するものである