FOOMA JAPAN 2026 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

冷凍生鮮食品の高速かつ高品質解凍技術の開発
口頭発表テーマ:冷凍生鮮食品の高速かつ高品質解凍技術の開発

  • 口頭発表あり

2026年06月03日(水)14:10~14:20

テーマ

加熱・乾燥

研究機関名

岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域 伝熱工学研究室

代表者名

磯部 和真

発表概要文

果物や魚介類といった生鮮食品の品質を長期間維持するためには,冷凍加工が不可欠である.また,近年では銘店の加工食品を冷凍のまま全国各地に配送し,食する需要も高まっている.しかし,解凍後にも低温で喫食する需要が高い生鮮食品や加工食品については,解凍ムラを生じやすいマイクロ波解凍や,表面温度の上昇が避けられない湯煎は適さない.一方,自然解凍であれば解凍ムラや表面の過熱を回避できるものの,時間/空間的な不便さが無視できない. 本研究では,冷凍された生鮮食品の過熱を防止しつつも高速かつ高品質に解凍することを目指して,1.熱ふく射(赤外線)を用いた解凍装置(図1),2.流動する冷水への浸漬による解凍装置(図2)等の開発を進めている.前者では,高温の放射体(赤外線ヒータ)から放射されるふく射により冷凍生鮮食品の解凍に必要な熱を供給しながらも,冷風を装置内に送り込むことで食品表面の過剰な温度上昇を防ぎ,解凍速度と品質を両立する.後者では,約10℃の水が循環する槽に真空パックした冷凍生鮮食品を浸漬させることで,過熱の懸念なく効率的に融解を促進する. 図3は,岡山県の特産品である清水白桃の冷凍品を対象に実施した解凍実験における温度経時変化である.本研究において開発した2種類の装置は,いずれも自然解凍(20℃環境に静置)の数分の1の所要時間にて冷凍桃を内部まで解凍している.特にふく射を用いる場合,ふく射と冷風強度の最適制御により表面と内部の温度差を数℃以内に抑制できている.また,浸漬解凍の場合も表面温度は水温にほぼ等しいため,やはり温度差は限定的である.加えて,本研究で開発した装置により清水白桃を解凍することで,解凍中の劣化(酵素的酸化等)が抑制され風味や香りが向上することも示唆されている.今後,他の様々な冷凍食品についても同様の試験を進めていく計画である.