FOOMA JAPAN 2025 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

外的プリファレンスマッピング手法による北海道産魚醤油の異なる地域間での消費者の好みの違い

  • 口頭発表あり

2025年06月12日(木)11:30~12:00

テーマ

検査システム(センサー・計測・分析・モニタリング含む)

研究機関名

酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 発酵科学研究室

代表者名

舩津 保浩

発表概要文

近年, 魚醤油などの発酵調味料は様々な素材が用いられ, 多様な発酵法での製造によって未・低利用水産資源の有効活用につながっている。一方, 食に対する関心の高まりから消費者のニーズは多様化しており,生産量の伸びが低迷している。また, 製品は地域によって異なっており独特で複雑な風味が醸し出されているが, 消費者の嗜好性と製品の品質との関連が不明瞭であるため一部の地域での小規模な生産と普及に留まっている現状である。本研究では消費者のニーズに対応した製品の新たな評価方法を創出し, 地域産業の活性化を目指し, 種々の発酵調味料のケモメトリックス手法 [定量的記述分析 (QDA) 法およびプレファレンスマッピング] による消費者の嗜好評価を行い, 製品の品質との関連性を明らかにすることを目的とした。 魚醬油は世界の万能調味料と言われ, 海外ではコラトゥーラ (イタリア), 魚露 (中国), ナンプラ (タイ)などがある。国内では伝統的な製品としてしょっつる (秋田県), いしる (石川県), いかなご醤油 (香川県)が知られている。北海道でも豊富な魚介類を用いた魚醤油製品が見られ, 種類も多く, 生産量も国内トップクラスである (図1)。そこで本研究では北海道魚醬油製品12種類を試験試料に用いた。 北海道魚醬油製品の官能的特質と消費者の嗜好との関係を明らかにするため, 12種類の市販製品の道南, 道央, 道東地域での消費者の嗜好を調査した。主原料や発酵法の違いで製品の物理化学的特性は多様であった。製品の官能的な品質を調べるため訓練されたパネルを用いてQDA法による官能評価を行い, 得られたデータの主成分分析から味と匂いの18属性は3グループに大別された。次に, 3グループの代表的な市販製品6種類を用いて外的プリファレンスマッピング手法によりベクトルモデル, 円形モデル, 楕円モデルのモデル選択での合成から各モデルで検証される人数の割り出しを行った。さらに, 2次元マップ上に関連する消費者の関係性を見るため, 消費者の嗜好の方向のグルーピングと各グループでの消費者の分布の違いが地域によってどのように相違するかを検討した。本研究では複数の主原料と発酵法を用いた製品の製造が地域の消費者の多様な嗜好にどのように対応できるかについてご紹介する。