FOOMA JAPAN 2025 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

乾燥によるロングライフ食品製造

  • 口頭発表あり

2025年06月12日(木)15:00~15:30

テーマ

加熱・乾燥

研究機関名

山口大学 生命医工学センター  摂南大学農学部 食品栄養学科 食品加工学研究室 三重大学大学院生物資源学研究科 食品生物情報工学研究室

代表者名

山本 修一

発表概要文

高品質で長期保存可能(ロングライフ)な食品は、フードロスを削減し持続可能(sustainable)な社会のために重要な役割を果たすと期待されています。そのような乾燥食品を製造するためには,乾燥時の物性・品質変化機構を理解したうえでプロセス開発をする必要がありますが,試行錯誤と経験に基づいて実施しているのが現状です.今回は,「乾燥による高品質ロングライフ食品製造プロセス」に関連した3大学の最新の研究成果を発表します(図1). 摂南大はシクロデキストリンを利用したマイクロカプセル(機能性粉末)による果物の鮮度保持について調べました。果物の熟成を促進させる植物ホルモンであるエチレンの受容体結合阻害剤である1-MCPを包接したα-CD粉末被覆紙のりんご(王林)の特質に及ぼす影響を報告します(図2)。 三重大は赤外線と熱風を併用した乾燥について検討しました.表面硬化が問題となるモデル食品を用いた実験では,初期の熱風温度と高照射エネルギーで乾燥を行い、事前に設定した材料温度に到達した時点で、熱風温度を下げることにより,表面の硬化を抑制したままで,乾燥時間を短縮することが可能となりました(図3)。  山口大は,食品の熱風乾燥挙動を水分拡散,水分活性,熱収支に基づいて解析し,一般化することにより品質変化が,材料温度と材料水分濃度が高い領域で生じることを明らかにしています。三重大が発表しているのと同様に初期に熱風温度を高くして,その後、熱風温度を下げることにより,高品質乾燥食品を短時間で乾燥できます.劣化反応速度が定量化できていれば,図4のような曲線に基づいて熱風温度プログラムをモデルシミュレーションにより設定できます.