FOOMA JAPAN 2026 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

脆性発現温度の変形速度依存性を利用した凍結食品材料の低温加工
口頭発表テーマ:脆性発現温度の変形速度依存性を利用した凍結食品素材の低温加工

  • 口頭発表あり

2026年06月04日(木)16:10~16:20

テーマ

飲食料品加工(その他)

研究機関名

広島大学 大学院統合生命科学研究科 食品工学研究室

代表者名

羽倉義雄

発表概要文

凍結魚体の低温脆性(低温で材料の性質がもろく、壊れやすくなる現象)が発現する温度(脆化温度)を高温側にシフトさせ、低温加工(凍結切断、凍結粉砕)が可能な温度を商業的な冷凍設備の保存温度に近づけることを目的とした。具体的には、脆化温度の制御方法として、変形速度および切り欠き導入に着目し、凍結魚体の低温切断に及ぼす温度・切り欠き・変形速度の影響を検討した。 (1)魚肉ソーセージ試験片では、切り欠きの導入および変形速度の増加により、脆化温度をより高温側にシフトできることを明らかにした。切り欠き無しの試験片(平滑試験片)の脆化温度は変形速度5mm/min、50mm/min、500mm/minとも-80℃よりも低温側に存在していたが、切り欠き試験片の脆化温度は変形速度5mm/minで -50℃、変形速度50mm/minと500mm/minで -40℃であった。切り欠きの導入により、少なくとも-30℃以上高温側に脆化温度にシフトしていた。これらの結果は、魚体の低温切断加工において、切り欠きの導入と変形速度の高速化により、より高い加工温度で脆性破壊を伴う切断加工が可能になることを示している。さらに、この知見は、低温切断を行う際の冷却コストの低減にも繋がると考えられる。 (2)イワシ試験片では、切り欠きの導入および変形速度の増加が脆化温度に与える明確な効果は認められなかった。しかし、切り欠きの導入と変形速度の増加により、より高温条件下でも低温切断に適した「筋線維を断ちる切断」が可能になることが明らかになった。この結果は、イワシなどの魚体の低温切断においても、切り欠きの導入と変形速度の増加が有効であることを示している。   本研究では、低温切断を行う凍結食材の脆化温度(脆性発現温度)の制御方法として、食材に切り欠きを導入し、高速変形を加えることで、加工対象の食材の脆化温度を高温側にシフトできることを明らかにした。さらに、魚体を用いた場合には、切り欠きの導入と変形速度の増加により、低温切断に適した「筋線維を断ち切る切断」が可能になることを明らかにした。  会場では、低温脆化現象を積極的に利用した食品素材の低温加工の実施例もあわせて紹介する。