アカデミックプラザ
化学農薬の代替となるキャビテーションプラズマ殺菌水の開発
口頭発表テーマ:化学農薬の代替となるキャビテーションプラズマ殺菌水の開発
- 口頭発表あり
2026年06月02日(火)15:15~15:25
テーマ
衛生対策・品質管理(殺菌、洗浄、異物除去含む)
研究機関名
兵庫県立大学 大学院 工学研究科 電気物性工学専攻 プラズマ応用工学研究室
代表者名
岡 好浩
発表概要文
【研究テーマ】 キャビテーションプラズマ殺菌水による「脱・化学農薬」型病害防除技術の開発 【背景とねらい】 ・2050年の世界の食糧需要は2010年比約1.7倍と予測され、化学農薬の使用量も同程度に増加すると見込まれている。 ・一方で、EU「Farm to Fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」では、農薬リスク・使用量の大幅削減が国際目標として掲げられている。 ・本研究では、水のみを原料とするキャビテーションバブルプラズマ(CBP)技術により、化学農薬に代わる農業用殺菌水の創出を目指す。 【技術の特徴】 ・減圧沸騰で生成した水蒸気微小気泡中に高電圧パルスを印加し、気泡内に低温プラズマを発生させる。 気泡中での電界集中により、通常放電の100倍以上の処理効率で活性種を生成することができる(図1)。 ・主成分は水(約99.9%)で、過酸化水素(約0.1%)とAg・Cuなど金属ナノ粒子/イオン(数10 ppm)を含み、「活性酸素タイプ」と「金属イオンタイプ」を使い分けることができる。 ・ラット急性経口毒性試験でLD₅₀>5000 mg/kg、Ames試験陰性と高い安全性が確認されている。 【抗菌性能と安定性】 ・植物病原菌5種(真菌3、細菌2)を対象とした阻害率試験で、金属イオンタイプCBP水は全菌種に対してほぼ完全な生育阻害を示すことができる(図2)。 ・活性酸素タイプは細菌に対して高い阻害率(98%以上)を示す一方、真菌に対しては効果が限定的である。 ・金属イオンタイプは製造後5か月保存しても阻害率98%以上を維持し、長期保存が可能であることが確認されている(図3)。 【防除試験と適用場面】 ・イネ腐敗症の種子消毒では、CBP殺菌水が既存化学農薬と同等、微生物農薬以上の防除効果を示し、水交換が不要であるため作業時間と廃液量の低減が期待される(図4)。 ・イネ葉いもち病の葉面散布では、展着剤を添加することで化学農薬と同等の病斑抑制効果を達成することができる。 ・一方、イネ紋枯病など土壌伝染性病害に対する効果は限定的であり、他技術との組み合わせが今後の課題である。 【今後の展開】 ・圃場スケールでの長期連用試験、多様な作物・病害への展開、植物工場・養液栽培・畜産・ポストハーベスト等への応用実証を進める予定である。 ・CBP殺菌水の高速生成・高濃度化を図り、「化学農薬の代替技術」として持続可能な農業システムへの実装を目指す予定である。