アカデミックプラザ
アイスクリームの再凍結における内部構造計測
口頭発表テーマ:アイスクリームの再凍結における内部構造計測
- 口頭発表あり
2026年06月03日(水)16:10~16:20
テーマ
冷却・凍結
研究機関名
日本大学生物資源科学部 食品開発学科 食品創生分野
代表者名
都 甲洙
発表概要文
アイスクリームミックスは,フリージング工程で高速に攪拌・急速冷却され,半凍結のアイスクリームになる.半凍結のアイスクリームは,初期凍結(-30℃)で硬化され,この際の氷結率は90%程度である.通常,アイスクリームの流通における冷凍庫温度は-20℃が多いが,冷凍庫内の温度昇降やドアの開閉などで温度勾配が生じ,アイスクリームは「凍結―融解―再凍結」の熱履歴を繰り返すことになる.融解前のアイスクリーム(未解凍)は,乳化・空気混入・急速冷凍により作られた均一な「多相分散系(Multiphase system)」と呼ばれる複雑な構造を持つ.これは大きく分けて氷結晶(固体),気泡(気体),脂肪球ネットワーク(半固体),濃縮水相(液体)で構成され,これらが微細に絡み合い,乳タンパク質と脂肪球が形成する「橋渡し構造(ネットワーク)」が氷結晶と気泡を包み込んでいる.しかし,アイスクリームが融解すると,氷結晶が融解して水相が増加し,脂肪球ネットワークの崩壊や気泡の消失・合一など,いわゆる「相分離」が起こる.この相分離したアイスクリームが再凍結(-20℃)すると,水分は再び氷になるが,一度分離した成分が再度均一に混合されることはないため,相分離した層構造が形成される.これらの層が再凍結する際,異なる凍結挙動を示すと考えられる.すなわち,分離した水相は大きな氷結晶として固まり,乳製品(脂肪層)や気泡とは明確に分離される.本研究の目的は,凍結―融解―再凍結を評価するために,極低温ミクロトームスペクトルイメージングシステム(Cryogenic Microtome Spectral Imaging System, CMtSIS)を用い,アイスクリームの再凍結時における内部構造変化を定量的に明らかにした. 製造したアイスクリームは-80℃,24hr初期凍結し,2℃で24hr解凍後,-20℃,-40℃,-80℃で再凍結した.未解凍は-80℃で凍結したサンプルを用いた. 乳製品の局部厚みの平均値は,再凍結温度が低くなるに伴い小さくなる傾向を示した.氷結晶の形状は,未解凍では楕円体に近かったのに対し,再凍結後は板状に変化している様子が観察された.気泡は,未解凍より-20℃と-80℃が小さく,-40℃は未解凍とほぼ同じであった.