アカデミックプラザ
流体シミュレーションを活用した良きモノづくり
口頭発表テーマ:流体シミュレーションを活用した良きモノづくり
- 口頭発表あり
2026年06月04日(木)15:10~15:20
テーマ
流動・攪拌
研究機関名
大阪大学基礎工学研究科機能創成 流体力学グループ
代表者名
後藤晋
発表概要文
我々は、複雑な流動現象の理解を深めるために、高度な数値流体シミュレーション技術を構築してきました。本研究では、この技術をモノづくりの根幹を担う【撹拌技術】へ応用します。数値流体シミュレーションを活用することで、従来の製造現場で避けることの難しかった試行錯誤の削減が期待されます。近年、世界的に環境負荷低減への取り組みが進み、食品製造をはじめとする幅広いモノづくり分野にもその動きが広がっています。このような背景のもと、試作レスを実現できる数値シミュレーション技術の需要は日を追うごとに高まっています。しかしながら、数値シミュレーションを“現場レベル”で活用するには、依然として多くの課題が残されています。とくに我々は、「流体シミュレーションを行うためには、解析ソフトウェアを使いこなす高度な専門性が求められる」という点に注目しています。多くの商用ソフトウェアでは、境界条件の設定、メッシュ作成、モデル選定などの事前準備が煩雑であり、専門知識を持つ技術者でなければ取り扱いが困難です。さらに、数値シミュレーションによって得られた膨大なデータから必要な情報を抽出し、状況に応じて適切に解析することも容易ではありません。その結果、ライセンス料に加えて、高度な専門人材の雇用コストも発生し、特に中小企業やスタートアップ企業にとっては大きな負担となっています。 そこで本研究では、現場での実用化を見据えた高速かつ高精度な撹拌シミュレータを開発し、広く公開することを目的とします。解析フローは図(上)に示すように非常に単純で直感的であり、メッシュ生成など、複雑な工程を擁しません。本シミュレータは、食品業界で多く見られる固気液三相流や、非ニュートン性を有する流体にも対応し、これらの複雑な流れ場を正確に解くことを可能とします。例えば、図(下)に示すのは、気液界面を伴うジャイロミキサー内の流れです。気液界面の大変形を伴う複雑な流れですが、数値シミュレーションの結果は実験を良く再現していることが分かります。本研究により、「数値シミュレーションは大企業しか活用できない」という現状を打破し、中小企業やスタートアップが支える、活気ある日本の“良きモノづくり”を後押しします。