アカデミックプラザ
二酸化炭素ファインバブルによる微生物の発酵力強化
口頭発表テーマ:二酸化炭素ファインバブルによる微生物の発酵力強化
- 口頭発表あり
2026年06月04日(木)15:55~16:05
テーマ
バイオ
研究機関名
日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 バイオプロセス工学分野(旧食品工学教室)
代表者名
小林 史幸
発表概要文
【研究背景】 これまで、二酸化炭素ファインバブル(CO2FB)による食品の殺菌・酵素失活に関する研究を行い、清酒の製造方法として実用化を果たした。さらに、その殺菌メカニズムの研究を行う中で、CO2FBにより微生物の膜酵素が活性化することおよび細胞膜疎水性度が高まることを明らかにした。そのため、CO2FBで死滅しない程度に処理した微生物は、菌体外マトリックスの生産量を増加させ、それに伴い有用なバイオフィルム(BF)形成を促進することを見出した(図1)。 【実験結果】 加温槽の温度40および45℃でCO2FB処理した納豆菌を用いて作成した納豆は、粘りの主要成分であるポリ-γ-グルタミン酸量(PGA)および遊離アミノ酸量が増加し、40℃で香気成分量が増加した(図2、3)。よって、CO2FBは納豆菌の菌体外マトリックスであるPGAを増加させる能力および発酵力を高めた。加温槽の温度25-35℃および混合槽の圧力0.2-0.4 MPaでCO2FB処理したヨーグルトスターター用の乳酸菌を用いて作成したヨーグルトは、菌体外多糖(EPS)量が増加した。加えて、混合槽の圧力0.2-0.3 MPaでCO2FB処理したナタ菌は、バイオセルロース(BC)形成量を促進した。よって、CO2FBは、乳酸菌およびナタ菌の菌体外マトリックスの生産能力を高めた。混合槽の圧力0.1および0.2 MPaでCO2FB処理した脱窒素細菌はBF形成を促進し、そのBFはより効率よく亜硝酸を分解した(図4)。すなわちCO2FBは有用なBF形成を促進した。 【今後の展開】 今後については、CO2FBにより活性を高められる有用微生物種をさらに探索し、効率的な発酵食品の製造を可能にする。さらに、CO2FBにより環境浄化に関わる微生物の活性を高めた排水処理システムを構築する。