アカデミックプラザ
グリセリンを添加した植物由来代替肉の製造と食品テクスチャー
- 口頭発表あり
2025年06月10日(火)11:30~12:00
テーマ
飲食料品加工(その他)
研究機関名
日本大学大学院生産工学研究科マネジメント工学専攻
代表者名
小林奈央樹
発表概要文
SDGsなどの動きにも関連して、従来からのベジタリアンやビーガンなどの様々な消費者志向の傾向として、畜肉の代わりに代替肉を求めるニーズに対応して、3Dプリンター製品、培養肉、そして以前から植物たんぱく質の組織化素材の製造に主要技術として用いられていたエクストルーダー製品などが製造販売されている。エクストルーダーを用いた組織化たんぱく質素材の開発は1970年代から行われており, 農産物の利活用向上や機能性食品の開発, さらには様々なたんぱく質源, たとえば大豆や小麦等の植物たんぱく質等を原料とした肉様繊維状組織 (代替肉) の作製などに利用されている。 現在3Dプリンターによる非畜肉系の素材を用いた様々な物性や形状の製品が登場しているし、畜肉由来の培養細胞を用いた培養肉についてもその製造の低コスト化やシステム化が進んでいる。これらの代替肉の商品については、喫食する際の食感がソフトでジューシーなものが求められており、特にエクストルーダーの利用については装置の処理条件や原料配合をコントロールすることにより既存の食肉に近い組織構造やテクスチャーを得るための検討が進んでいる。 発表者らも, 一昨年よりコオロギたんぱく粉末を原料の一部に用いることで、より肉様の構造形成と昆虫成分などの添加による栄養面での改善を目的としてエクストルーダーで植物たんぱく質由来代替肉を試作し、Texture Profile Analysis (TPA) 等の物性評価を実施し、代替肉の食品テクスチャーについてについて測定するとともに、実際の食肉のテクスチャーとの比較を実施することでその力学的特性について議論を行ない、コオロギパウダー添加による植物たんぱく質由来代替肉の物性改善を認めた。 エクストルーダーによる押出成形については装置内の材料の流動性を改善し、押出物の品質向上を図るために可塑剤の添加などによる検討が一般的に行われている。今回は従来から可塑剤として利用されているグリセリンによる物性改善について、植物たんぱく質由来代替肉の押出処理での検討を行った結果、いくつかのグリセリンの効果を示す結果を得たので、報告する。