アカデミックプラザ
生鮮食品の腐敗を可視化する食品腐敗センサーの開発
口頭発表テーマ:生鮮食品の腐敗を可視化する食品腐敗センサーの開発 -スマートパッケージング-
- 口頭発表あり
2026年06月02日(火)14:45~14:55
テーマ
検査システム(センサー・計測・分析・モニタリング含む)
研究機関名
富山県立大学 工学部 医薬品工学科 ライフサイエンス材料研究室
代表者名
竹井 敏
発表概要文
本研究では、食品廃棄ロスの削減と食の安全性の向上を目的として、安全性が高分子賦形素材を基材としたマイクロニードル型食品腐敗センサーの開発を行った。従来の食品腐敗判定は、外観や臭気といった官能評価、あるいは表面の揮発性成分を検知するセンサーに依存しており、食品内部で進行する初期段階の腐敗を精度よく捉えるには限界があった。 これに対し本研究では、ナノインプリント技術を用いて微細な針状構造を成形し(Fig.1)、食品内部へ直接アプローチすることで成分を抽出する新しいセンシング手法を構築した。選定基材は優れた親水性と膨潤性を有しており、食品内部の水分とともに腐敗成分を迅速に吸い上げ、内包した色素へと伝達する反応媒体として機能した。 本センサーの基材を用いた性能評価では、pH 1、7、13 の各条件下において明確な色調変化が確認され、腐敗に伴う広範なpH変化を視覚的に判別できる高い応答性を実証した。また、ブリを用いた穿刺試験においては、表面に微細な穿刺跡が確認できた(Fig.2)。この結果は、ニードルが食品内部へ確実に到達したことを物理的に裏付けた。これは、内部成分を直接捉える信頼性の高いセンシング手法としての実用性を強く示すものである。 本技術は、生鮮食品の流通・販売現場から家庭での品質管理まで幅広く対応し、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」および目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に寄与するものであり、今後はさらなる高感度化と量産化プロセスの確立を通じ、持続可能な食品産業への実装を目指す。