アカデミックプラザ
マイクロ波加熱システム最適化ツールとしてのコンピュータシミュレーション
口頭発表テーマ:マイクロ波加熱システム最適化ツールとしてのコンピュータシミュレーション
- 口頭発表あり
2026年06月04日(木)14:10~14:20
テーマ
加熱・乾燥
研究機関名
東京海洋大学、食品生産科学部門、食品熱操作工学研究室
代表者名
ラべ ペレス イヴァン アントニオ
発表概要文
1.背景 マイクロ波加熱は、レトルト殺菌、ブランチング、乾燥、ベーキングなどのプロセスにおける高温空気や蒸気、温水といった熱媒体を使用した加熱に代わるものとして、産業プロセスへの適用がますます拡大しています。しかしながら、加熱の不均一性は依然としてマイクロ波技術の大きな欠点です。食品内の高温部と低温部の温度差は、微生物汚染や公衆衛生上の問題につながる可能性があります。近年、この限界を克服するために、固体マイクロ波デバイス、マルチマグネトロンマイクロ波システムそして、ハイブリッド加熱技術の開発がすすんでいます。これらの新しいマイクロ波加熱技術は、処理時間とエネルギー消費を大幅に削減することを可能にします。しかしながら、その効果を最大限に引き出すには、装置内部の設計とプロセスパラメータの最適化が不可欠です。予測モデリングはこの最適化において、新しい食品やその包装の設計における試行錯誤を回避し、コスト削減と競争力向上に貢献します。さらに、これらの技術は、栄養価やおいしさ、微生物学的安全性にそれぞれ異なる影響をもたらします。消費者に安全で魅力的な食品を提供するため、本研究では、予測モデルを活用して最先端のマイクロ波加熱技術を最適化し、加熱効率と均一性の向上を実現させることを目指します。 2. 方法 当研究室では、有限要素法をはじめとする解析手法を活用し、熱・物質移動、流体力学、電磁気学、化学反応といった多様な物理モデルを統合することで、新たな加熱技術下における伝熱特性と食品内部の物性変化を解析し、産業プロセスの最適化に資する予測モデリングを実施しています。 ここでは、通常のフラットテーブル型電子レンジ、マルチマグネトロンシステム、さらにハイブリッド加熱システムを対象に、有限要素解析ソフトCOMSOL Multiphysics 6.4を用いて、3次元要素モデルを作成し、電磁界と熱伝導の連成解析を実施します。この結果に基づき、対象食品に応じた要因、例えば澱粉の糊化やタンパク質の変性、色調、食感といった品質パラメータと関連付けて評価します。 3.結果がもたらす社会的意義 新しいマイクロ波加熱システムのコンピュータシミュレーションモデルを確立することで、処理パラメータの微調整や最適化、さらに処理された食品の最適条件を高精度に予測できます(図1)。これにより、エネルギー消費の削減や廃棄物の削減が期待でき、費用や時間のかかる実験的試行錯誤を最小化できます。 これらの成果は、この分野のグローバルな発展を促進するとともに、地域の食品セクターをより競争力が高く、持続可能な産業へと変革することへ貢献すると期待されています。