アカデミックプラザ
脂身の代替食品の開発に向けたエマルションゲルの食感制御
- 口頭発表あり
2025年06月13日(金)15:00~15:30
テーマ
その他
研究機関名
新潟大学地域連携フードサイエンスセンター(農学部 食品科学プログラム 食品製造学研究室)
代表者名
赤澤隆志
発表概要文
脂身は独特な食感とフレーバーを有する嗜好性の高い食材だが、飽和脂肪酸(SFA)の含量が多く、過剰に摂取すると心疾患のリスクが高まることが知られている。SFAの摂取量の低減に向けて、脂身代替品の開発に関する研究報告が増えており、植物油とタンパク質のエマルションゲル(EG)に関する多くの報告がある。しかし、これまでに報告されているEGは破断強度が低く、物性が脂身と大きく異なり、脂身のような食感を再現できていない。脂身の食感を再現するためには、EGの骨格構造を改変し、機械強度を向上するなど、EGの食感制御法を確立することが重要である。 我々は、これまでに、様々な植物抽出エキスがタンパク質ゲルの物性に及ぼす影響を解析し、オリーブ(Olea europaea L.)の葉からタンパク質ゲルの機械強度を劇的に向上するポリフェノールを見出した。本研究では、脂身の食感を再現したEGの開発に向けて、オリーブポリフェノールがEGの食感に及ぼす影響を解析した。ゼラチンと大豆油を用いて作製したEGにオリーブポリフェノールを添加すると、破断強度が向上した。また、Temporal Dominance of Sensations(TDS)法によって咀嚼中の食感の変化を解析した結果、オリーブポリフェノールの添加によって、EGの食感が脂身に近づくことが示された。 タンパク質ゲルの物性改変は、酵素製剤などの食品添加物を使用した研究例が多いが、クリーンラベル製品の需要が高まっていることから、食品添加物を使用せずに物性を改変することが望ましい。オリーブポリフェノールは、クリーンラベル化された脂身代替品の開発に貢献できると考えられる。