アカデミックプラザ
電気トモグラフィ(ET)を用いた食品製造プロセスのリアルタイム可視化
口頭発表テーマ:電気トモグラフィ(ET)を用いた食品製造プロセスのリアルタイム可視化
- 口頭発表あり
2026年06月02日(火)14:00~14:10
テーマ
検査システム(センサー・計測・分析・モニタリング含む)
研究機関名
千葉大学 大学院工学研究院 武居研究室
代表者名
武居 昌宏
発表概要文
食品製造プロセスにおいて製品内部の状態を把握することは、品質の安定化や工程最適化に直結する重要 課題である。従来は抜き取りサンプリングによる評価が主流であったが、この手法は工程の一部のみを対象 とするため製品全体を連続的に評価することが困難であり、人為的作業を伴うことによる衛生管理上の制約 や作業負荷の増大、さらには破壊検査による製品ロスなどの問題を抱えている。このため、製造ライン上で 食品内部状態を非接触・非侵襲かつリアルタイムに監視できるインライン計測技術の需要が高まっている。 本研究では、この課題に対する解決策として電気トモグラフィ(Electrical Tomography:ET)に着目し、食 品工場への実装を想定した実用的センシング技術の開発を行った。特に、従来のインピーダンスアナライザ やキャパシタンスメータが大型で計測速度も限定的であった点に着目し、測定回路と多路復用器マルチプレ クサを一体化した超小型ET ハードウェアを新規開発した(図1)。本装置は約4 cm × 8 cm × 4 cm の小型筐 体でありながら、多電極の高速スキャンとリアルタイム画像再構成を可能とし、インピーダンス計測とキャ パシタンス計測に対応する。これにより、生産ラインへの組込みや既存装置への後付け導入を容易にし、食 品内部状態を連続的に可視化できる実用的なインラインセンシング基盤を実現した。 さらに本装置を基盤として、EIT と機械学習を融合した気泡分散可視化技術や、電気容量測定とレオロジ ー特性評価を組み合わせた相転移解析技術を構築し、ホイップクリーム攪拌工程における内部構造変化を高 精度に評価できることを実証した。これにより、従来は熟練作業者の経験や抜き取り検査に依存していた品 質判断を、リアルタイムかつ定量的に実施することが可能となる。 本技術は、品質ばらつきの低減、製造条件の最適化、歩留まり向上、食品ロス削減に直接寄与することが 期待される。また、小型・低コスト・高速計測という特長により、食品産業におけるスマートファクトリー 化やDX 推進を支える次世代プロセスセンシング技術としての展開が期待される。さらに本技術は粉体混合、 多相流プロセス、化学・医薬分野などへの応用可能性も有しており、幅広い産業領域における製造プロセス 可視化技術の発展に貢献する。