FOOMA JAPAN 2025 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

ワイン残渣を有効活用した機能性成分の抽出方法の確立と食品への応用

テーマ

環境対策・リサイクル(廃棄物処理、カーボンニュートラル含む)

研究機関名

信州大学、農学部、農学生命科学科、食品免疫機能学研究室

代表者名

田中 沙智

発表概要文

信州大学が位置する長野県は、ブドウの産地であると同時にワインの産地でもあり、ワインの生産現場では醸造由来の加工廃棄物をいかにして有効利用するかが常に話題になっている。一部は肥料や飼料として再利用されるものの、ワイン残渣の大部分は、多大なコストをかけて廃棄されている。しかし、食品素材やその成分がもつ機能性に立脚すると決して無価値なものではなく、むしろ含まれている機能性成分の量は可食部より優れている場合が多い。そのため、ワイン残渣の有効活用は、処理コストを削減するだけではなく、新たな産業の創出にもつながり、機能性成分が広く提供されることで、SDGsを達成できると考えられる。さらに県内では、信州ワインバレー構想が策定(2023年からは「信州ワインバレー構想2.0」)されたことでワイン産業の活性化による醸造用ブドウの作付面積が増加しており、今後はワイン残渣もさらなる増加が見込まれる。  ブドウには機能性ポリフェノールであるプロアントシアニジンが含まれている。プロアントシアニジンの中でも、エピカテキンの二量体であるプロシアニジンB2は天然物における含有率が高く、抗酸化作用や抗炎症作用、脂質代謝改善作用などが知られている。我々はこれまでに、ガレート型プロシアニジンB2が高い抗炎症作用や抗酸化作用をもつことを明らかにしている。そこで、ワイン残渣を微細化処理した上で、プロアントシアニジンを効率的かつ高純度で抽出する方法を確立し、機能性素材として活用することを目指す。具体的な有効活用する機能食品の形態としては、機能性成分を含む菓子(飴、グミ)やジャム、ジェラートなどを開発していきたいと考えている。