FOOMA JAPAN 2025 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

赤外線加熱と空冷を併用した白色クラストパンの焼成技術

テーマ

加熱・乾燥

研究機関名

国士舘大学 理工学部 理工学科 機械工学系 熱応用研究室

代表者名

佐藤 公俊

発表概要文

サンドウィッチ作製において、硬い食感と色づきが理由で、食パンの耳を切除して白い柔らかい部分だけを用いることが多い。パンを白く焼くためには、パン生地表面の変色硬化が発生するアミノ-カルボニル反応が起こらない160℃以下に保つ必要が有る。ただし、従来的なオーブンでは雰囲気の温度を下げざるを得ず、入熱量の減少により焼成時間が長くなってしまう。そこで金属の代わりに透明ガラス製容器を用いて、空冷しながら赤外線ヒータからガラスを透過してパン生地を輻射加熱することで、表面の温度を下げて充分加熱することができ目的の耳まで白いパンを実現した。これは「強制対流と輻射の共存」という伝熱工学技術の応用によるものである。耳の除去の必要のない「表面が白いパン」をあらかじめ作成できれば、食品廃棄低減に大いに貢献できる。本技術の効果による加熱時間低減は裏返すと消費エネルギの低減につながり食品製造の省エネルギにも役立つ。「焼き色を付けずに焼成するパン」についての取組は研究・産業応用ともに多くの例があるが、基本的には低温炉内で入熱を絞って、時間をかけてアミノカルボニル反応温度以下にすることに過ぎない取組みのみである。従来の方法でできる白いパンの特徴的表現は「しっとり」であることに対し本技術では充分な水分蒸発を担保する入熱のおかげで「サックリ」と表せる。