アカデミックプラザ
食品用ロボットグリッパの評価のためのフィジカルツイン
口頭発表テーマ:食品用ロボットグリッパの評価のためのフィジカルツイン
- 口頭発表あり
2026年06月03日(水)14:55~15:05
テーマ
食品加工装置(ロボットシステム構築含む)
研究機関名
近畿大学(ソフトメカニクス研究室)工学部 機械工学科
代表者名
松野 孝博
発表概要文
ロボットグリッパで食材をハンドリングする場合,食品を傷つけず,かつ安定してハンドリングができるグリッパが必要となる.既存のロボットグリッパ研究では,把持性能の評価は実際の食材で行われる.しかし,本物の食材は時間経過で痛むため,食材側の形状,変形形状,表面摩擦などの再現性を確保することができない.この問題を解決するために,食材の形状,粘弾性特性,摩擦特性などを再現した食品の模型“フィジカルツイン”を提唱した.これらを標準器としてロボットグリッパの評価に用いることにより,再現性のある評価環境を確保しつつ,ロボットハンド開発に伴う食品ロスも削減することを目標としている.これまでに柔軟性や粘弾性特性を再現したサンドウィッチと大福,摩擦特性を再現したハンバーグを試作した. 本研究では発展的な内容として,まず一つ目に,食品の変形形状の再現を目標とした.具体的な模倣対象はパスタとし,パスタを持ち上げおよび盛りつけた際に,実際の食品と同様に変形するフィジカルツインを製作した.単一モールドを用いた造形手法により,バリや気泡を抑えた麺状サンプルを製作し,曲げ特性および盛り付け形状を実食品と比較した.その結果,材料硬度の選定や流動パラフィンの塗布をすることで,実際のパスタの挙動に近い変形を実現した. さらに踏み込み,本研究ではハンドリング成否の計測方法に着目した.従来の評価手法は外部センサの設置が前提であったものの,フィジカルツインを用いる場合,その内部にセンサや通信機器を埋め込むことが可能である.この方法では,外部に大規模なセンシング環境を構築する必要がなく,簡易的な実験環境でロボットグリッパの開発ができるようになる. 本研究ではピック&プレースの成否判定,ロボットグリッパの把持力評価が可能なフィジカルツインを製作した.ピック&プレース動作の成否の判定においては,加速度センサとホールセンサをフィジカルツインに内蔵する.各センサの計測値から,把持対象物を落とさずに目標位置に置くことができたか判定することができる.把持力評価においては中空構造をしたフィジカルツインを製作し,内部に圧力センサを設置する.ロボットグリッパで把持をすると,フィジカルツインが変形し,その結果として内圧が変化する.この圧力変化を計測することで,食品サンプルに加わる把持力を間接的に評価できる.