FOOMA JAPAN 2026 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

多角的非破壊センシングで解き明かす青果物の品質変化機構
口頭発表テーマ:多角的非破壊センシングで解き明かす青果物の品質変化機構

  • 口頭発表あり

2026年06月05日(金)13:30~13:40

テーマ

検査システム(センサー・計測・分析・モニタリング含む)

研究機関名

京都大学農学研究科 地域環境科学専攻 生物生産工学講座

代表者名

黒木 信一郎

発表概要文

青果物の品質は、外観の変化に先行して、内部で水分状態や組織構造、栄養成分などが変動する。しかし、これらの内部変化を非破壊で捉える手法は限られており、品質評価は依然として外観に基づく主観的判断や侵襲的な理化学分析による単一指標に依存しているのが現状である。そこで我々は、磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)、ハイパースペクトルイメージング(Hyperspectral Imaging:HSI)、および葉面パッチクランプ圧力プローブ(leaf patch clamp pressure (LPCP) probe、Yara Water sensor)といった、異なる計測原理に基づく複数の非破壊センシング技術を青果物の品質変化解析に適用し、その有効性を検討した。以下に、本研究により得られた3つの知見を記す。 ① MRIにより、貯蔵中のアスパラガス内部における水分動態の変化が空間的に可視化され、劣化機構の一端を代謝および組織構造の面から明らかにした。 ② SWIR-HSIにおいて、撮像条件の最適化により青果物内部の生化学情報の抽出精度が向上することが示されるとともに、レタスの総アスコルビン酸含量予測への可能性が示唆された。 ③ LPCPプローブにより計測されたPpは、チンゲンサイの萎凋および再吸水過程に伴う細胞の力学的応答を連続的に捉え、品質変化の初期兆候を示す指標となり得ることが示された。 これら3つの技術を統合することで、単一手法では把握が難しい品質変化の進行過程や背景にある物理・生理的プロセスを立体的に理解し得ることが示唆された。これらの研究成果は、青果物の鮮度スクリーニングやロス削減、貯蔵・加工工程の最適化に資する次世代の非破壊品質評価技術の基盤構築につながると期待される。