FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

熟成条件が水産品の品質に与える影響

テーマ

冷却・凍結

研究機関名

国立台湾海洋大学、生命科学院、食品科学学科、食品工学研究室

代表者名

劉 修銘

発表概要文

保存を目的とする加工技術は腐敗しやすい水産物において大変重要であり、多く研究されている。近年は、保存性の向上のみならず付加価値を水産加工において求められている。その中で、新鮮さを求めるのでなく水産物の熟成が注目されているが、そのメカニズムにおいていまだ解明されていない点が残されている。そこで本研究は、台湾で多く養殖されているグルーパーの熟成に対し高圧処理(HPP)の影響を調査した。とりわけ、高圧処理が熟成において魚肉pHと保水力、総揮発性塩基窒素(TVBN)、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を含む品質指標に及ぼす影響に注目した。また、鮮度と風味の変化を評価するために、k valueと遊離アミノ酸分析が行われた。実験結果により、熟成魚肉の保水力にHPPが顕著な影響を与えることを示した。また、高圧処理は熟成中の魚肉pH、保水力、総生菌数に有意な影響を与えないが、高圧処理の魚肉ではTVBN値が低く、品質保持がより良いことを示唆した。また、グルーパーの熟成過程でIMP量が比較的高い水準を保つことを示し、これにより風味が増強されたと考えられる。本研究ではグルーパーの熟成処理中の成分変化を解明したとともに、高圧処理の応用を試み、これによる影響を解明した。これにより水産物の熟成加工程をより深く理解し、品質と商品価値向上の手がかりになり得る。