FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

油脂汚れの拭き取り洗浄除去 -乾拭き vs 水拭き-

  • 口頭発表あり

2024年06月07日(金)10:30~11:00

テーマ

衛生対策・品質管理(殺菌、洗浄、異物除去含む)

研究機関名

三重大学大学院 生物資源学研究科 海洋微生物学研究室

代表者名

福﨑智司

発表概要文

レーヨン不織布を用いた拭き取り洗浄によるステンレス鋼平板上の植物油(以下、油と略記)の除去における乾拭き(乾式)および水拭き(湿式)の有効性について検討した。不織布への純水の吸水量と荷重を高めると、動摩擦力(Fk)は増加し、拭き取り洗浄後の油の残存率は減少した(図1)。油の拭き取り除去は、水拭きの方が乾拭きよりも有効であった。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)は、油と水の界面張力(γow)を低下させることで残存率を減少させた(図2)。不織布による油の拭き取り性は、SLS水溶液の吸水量の増加によって改善された(図3)。種々の拭き取り条件下において、拭き取り終点の平板(D)の油の残存量は、油塗布平板(C)の残存量よりも多く、全残存量(平板C + D)に対する平板Dの残存量の割合は70~78%の範囲にあった。湿式拭き取り洗浄で不織布内に拭き取られた油は不織布の前方部に存在しており、さらにSLS水溶液の吸水では局所的な濃縮がより明確に観察された(図4)。0.3% SLS吸水不織布で横方向に拭き取り洗浄した後の平板Dの残存油は、2回目の垂直方向の乾拭きによって、別の平板への油の移動を伴うことなく効率的に除去された。FkとSLSの界面活性の相乗作用がステンレス鋼平板からの油の除去と不織布内での安定保持に重要な役割を果たした。