FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

インピーダンス測定によるパウチ入り食品の調理過程の未開封計測

  • 口頭発表あり

2024年06月06日(木)13:30~14:00

テーマ

検査システム(センサー・計測・分析・モニタリング含む)

研究機関名

広島大学 大学院統合生命科学研究科 食品生命科学プログラム 食品工学研究室

代表者名

羽倉義雄

発表概要文

デンプンの糊化度測定やタンパク質の熱変性の分析には、酵素法やDSCなどが用いられることが多い。しかし、これらの測定方法では一定温度での糊化および変性の進行程度を連続的に把握することはできない。そのため、これを可能とする計測方法の確立が求められている。そこで、本研究では非破壊測定である電気インピーダンス法を用いて、レトルトパウチ内の食品の電気物性を容器外から測定し、内容物の物性変化を捕捉する新たな計測方法の提案を目的とした。 豚肉をパウチに入れ一定温度(65℃、75℃、85℃、95℃)で長時間加熱し、パウチ内の豚肉のインピーダンスの経時変化をパウチの外側から測定した。併せて、インピーダンス測定と同条件で調製した試料に対して、材料試験機を用いた硬さの測定を行い、インピーダンスの変化とタンパク質の熱変性度及び硬さの関係を整理した。 加熱処理した試料のインピーダンス測定では、加熱強度の増加に伴い、Δ|Z|(加熱処理前後のインピーダンスの差)が大きくなった。加熱強度が増加するほど、弾性ひずみエネルギーが減少する傾向を示した。弾性ひずみエネルギーとΔ|Z|との間には、良好な負の相関があることが明らかになった。 以上の結果は、パウチ内の食肉の加熱処理前後でのインピーダンスの変化(Δ|Z|)を測定することにより、食肉の加熱による状態変化を容器の外部から非破壊・経時的に把握できる可能性を示している。この方法は、例えば低温調理中の食材変化の捕捉に利用できる可能性がある。