FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

鯨肉の解凍を高圧処理で行うとどうなる?~高圧解凍が鯨肉の物性や色調に与える影響~

テーマ

その他

研究機関名

新潟大学地域連携フードサイエンスセンター(農学部 食品科学プログラム 畜産製造学研究室)

代表者名

西海 理之

発表概要文

食品加工への高圧処理の利用は、約35年前に日本から始まり、最近には「非加熱食品加工技術」として世界的に注目されるようになった。食品製造・加工技術へと展開しつつあり、他の加工技術とは全く異なる位置づけである。食品の殺菌・賞味期限延長のために現在600 MPa程度の高圧処理技術が用いられているが、そのための装置コストが非常に高く、食品産業界への設備導入の足枷となっている。 当研究室では長期圧力貯蔵時の鯨肉の品質に及ぼす影響について調べ、鯨肉のデメリットである硬い肉質や食感が圧力貯蔵により改善して柔らかく変化させられることを2022年のアカデミックプラザにおいて発表した。鯨肉のおいしさは解凍条件により大きな影響を受けるため、解凍の仕方が悪いと、解凍収縮を起こして品質が大きく低下する。今回は解凍方法に着目し、鯨肉の解凍に高圧処理を利用することにより、解凍時間の短縮及び解凍による品質低下を抑え、調理・加工後の品質を向上させることを目的とし、高圧解凍を用いた際の鯨肉の品質について、一般的な解凍方法との比較や適切な解凍条件の検討を行った。従来の解凍方法に比べて、高圧解凍では鯨肉の色調及び物性改善が示唆された。高圧解凍は鯨肉の品質向上のみならず、解凍に要する時間の大幅な短縮も期待できる。