FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

撹拌パーツなし撹拌機(粉体および液体)

  • 口頭発表あり

2024年06月04日(火)14:50~15:20

テーマ

流動・攪拌

研究機関名

大阪大学 基礎工学研究科 流体力学グループ(後藤研究室)

代表者名

後藤晋

発表概要文

粉体や液体の【撹拌】は食品工業において重要な工程です。一般には、撹拌翼のような【撹拌パーツ】を用いて試料の撹拌を行いますが、撹拌翼を用いた混合では、例えば、複雑形状の撹拌翼に付着した試料を洗浄するにはコストがかかりますし、食品ロスにも繋がります。さらに、洗浄の難しさはコンタミネーションにも直結します。これらが、食品の生産において、とくに留意すべき問題であることは言うまでもありません。 したがって、撹拌翼のような【撹拌パーツ】を用いることなく、試料を混ぜることができれば、食品工業における様々なメリットがあるはずです。そこで私たちは、【液体】と【粉体】のそれぞれに対して【撹拌パーツなし撹拌機】を開発してきました。私たちが提案する技術では、滑らかな容器の運動のみで複雑な流れを容器内部に駆動し、試料の迅速な混合を実現します。 【液体混合技術】 (容器が2つの軸のまわりを回転する)容器の歳差運動を用いた歳差撹拌機を提案します。図1(左)に示すように、容器の自転軸が、もうひとつの軸(歳差軸)まわりに回転することで、容器内部に複雑な流れを駆動します。我々はとくに、それぞれの軸が互いに直交し、かつそれらが容器の中心で交わる場合の撹拌機を提案します。このとき、自転軸まわりと歳差軸まわりのそれぞれの回転数の比を適切に選択することで、液体に高せん断力を印加できます。実際に、我々の所有する歳差撹拌機(図1右)を用いた実験により、乳化のような高せん断撹拌も実現できることが確認できます(図2)。 【粉体混合技術】 滑らかな球状容器に粉体を半分ほど入れ、水平方向に振動させながら、鉛直軸まわりにゆっくり回転させます。すると、容器全域には一対の容器サイズの対流を伴う粉体の複雑な流れが発生します。その結果、図3に示すように、粉体の均一な混合が実現されます(白米を使ったデモに関するYouTube動画もご覧下さい:https://youtu.be/eYCErrPwPCQ)。容器の運動を用いた既存の粉体混合機は、鉛直方向に激しく振動させる、あるいは、水平軸まわりに比較的高速に回転させるものが多いですが、本技術は、水平方向の加振振幅は数mm以下と小さく、また、鉛直軸まわりの回転速度もわずか1 rpm程度です。したがって、作業者の安全が確保されるほか、混合中の試料の追加や抜き出しも容易です。なお、本技術は昨年も展示しましたが、今年は課題であったスケールアップに挑戦した結果を紹介します。