FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

ステーキ調理の最適加熱制御にむけた焼き加減の定量的評価

テーマ

加熱・乾燥

研究機関名

東京海洋大学、食品生産科学科、食品熱操作工学研究室

代表者名

福岡美香

発表概要文

ステーキ調理は料理人の長年の経験や知識に基づいて行われており、誰でも簡単に異なる焼き加減に焼成する方法は未だ確立していない。さらに、一般的にレア、ミディアム、ミディアムレア、ウエルダンといった焼き加減の呼称は広く使われているものの、実際に、どのような状態がレア、ミディアム、ウエルダンなのかといった科学的知見に基づいた根拠や指標は、世界的に見ても存在しないのが現状である。本研究では、多様なステーキの焼き加減を対象に、温度、色、調理損失率、テクスチャーなど焼き加減に関わる複数因子を数量化し、これらを判断材料とした加熱制御システムの構築を目的としている。レアやミディアム,ウェルダンといった異なる焼き加減の調理プロセスについて、加熱によって生じる内部の色彩変化,寝かせ工程の影響などを解析し、温度ならびに反応シミュレーションの構築までを目指した。 色彩変化とタンパク質変性を関連付けたシミュレーションから、これまで明確な指標が提示されていないステーキ調理の焼き加減の違いを定量的に表すことができた(図1)。これまで経験的に行っていたプロの料理人による調理プロセスに対して、工学的に予測するツールを構築した点が特徴であり、個々人の好みに合致した焼き加減を実現する自動調理器へ展開することを視野に入れている。 人的不足を見据えた加熱加工・調理における自動化、環境負荷低減に向けたミニマムヒーティングの提案として、食品産業に大きく貢献できる技術と考えている。