アカデミックプラザ2013

研究概要

電気化学特性を指標とした食肉の加熱調理モニタリング

研究機関名

筑波大学 システム情報系 知能機能工学域 音響システム研究室 バイオ環境計測グループ

代表者

水谷孝一

本研究の主旨

食肉の加熱過程における物性変化計測法の確立を目的として,電気インピーダンス法の適用を試みた結果,加熱調理過程の物性モニタリングの可能性が見出された.測定対象に電極を介して高周波信号を印加し,測定されたインピーダンスをスペクトル解析することで,対象の物性を推定可能である.Fig. 1に示すように,針状電極を施した豚もも肉を実験試料として,表面温度200℃に保ったセラミックス板上で加熱しながら周波数100 Hz~15 MHz帯域におけるインピーダンスを測定した.
Fig. 2 (a)は加熱時間0 - 5 (min) における豚もも肉のCole-Coleプロットである.加熱が進行するに伴い,円弧の縮小およびRの減少が確認できた.Fig. 2 (b)は加熱時間6 - 15 (min) における食肉のCole-Coleプロットである.加熱後半においても円弧の一部分が確認できた.6分,10分と加熱が進むにつれて,Rが増大し,10分以降から減少・増大を繰り返す傾向がみられた.
Fig. 3に試料の中心温度に対する等価回路定数の変化を示す.これは細胞組織を模した電気的等価回路であるHaydenモデルを一部改変した「修正モデル」を適用し,モデル化したものである.細胞膜容量Cは加熱時間が増大するにつれて減少する傾向が見られた.特に50 - 60 (℃)における変化が著しく,60℃以上の中心温度では容量成分がほぼ0に近い値を示した.これは細胞膜が熱により損傷を受け,構造が崩壊したためと考えられる.中心温度20 - 60 (℃)における細胞内液抵抗Ri細胞外液抵抗Reの減少は,細胞間に存在する脂質の融解・流出と,細胞内液,細胞外液の温度依存性および水分流出による電解質の濃度上昇の影響と考えられる.一方中心温度60 - 80 (℃) における細胞内液抵抗Ri増大は,電解質を含む水分が細胞外,試料外へと流出したことが原因であると考えられる.
以上の結果,加熱過程における修正モデルの各等価回路定数の値の変化から細胞膜損傷や細胞内液・外液の流出などの変化を推定可能であることが分かった.

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図1. 装置の概要

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図2. 食肉の加熱過程におけるCole-Coleプロット変化

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図3. 等価回路定数の変化

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