アカデミックプラザ2013

研究概要

水と機械の調和を目指して

研究機関名

独立行政法人 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 トライボロジー研究グループ/表面機能デザイン研究グループ/加工基礎研究グループ

代表者

大花 継頼

本研究の主旨

1.研究の分野
環境および生体に優しい水潤滑システムの開発

2.研究の目的
油を用いた潤滑は多くのしゅう動部品に適用されているが、食品や医薬品の製造現場では、汚染などの問題を引き起こす可能性がある。そこで、水を用いたトライボシステムが構築できれば、水は自然界に存在する安全な流体であり、また廃棄時にCO2を出さないことからも、安価で環境にもやさしいシステムが期待できる。しかし、現存のトライボシステムで多用されている鋼系の金属材料は水に対する耐食性に乏しい。また水は粘度が低いため、水潤滑下では水膜による二面の隔離が不十分で固体接触が起きやすい、そのため、水潤滑では「固体接触を阻害する」ために二面をいかに隔離するか、また、固体接触が起きてしまった場合には摩擦面での「せん断応力を低減」し、「せん断による損傷を小さくする」ことが鍵となる。これらの課題の解決に向けて進められている様々な取り組みを参考文献1)にまとめたので、水潤滑にご興味をお持ちの方にはそちらもご覧いただきたい。当研究グループでは耐食性と低せん断性を持つことが知られているダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の水潤滑について検討している。

3.研究の成果2-4)
本研究では、プラズマCVD法を用いて、ステンレス基板上にDLC膜の成膜を行い、往復動によるピンオンディスク法で摩擦摩耗特性評価を行った。相手材としてステンレス球を用いて、空気中および水中で摩擦を行うと、水中では空気中と比較して、安定した低摩擦特性を示すことが明らかとなった。また、空気中では摩擦特性に湿度が大きく影響を与えることが明らかとなった。さらに比摩耗量も荷重9.4Nでの試験結果において10-8mm3/Nm 程度であり、極めて小さく、耐摩耗特性にも優れている。一方、DLC膜は水中において、鉄系基板上でははく離しやすいことが問題となったが、中間層として傾斜層の導入によって、100Nでの摩擦試験でもはく離しない膜を作製することに成功した。図1は開発したDLC膜の摩擦特性評価のデモ機であり、水槽に設置した2枚のステンレス基板(1枚にはDLC膜をコーティングしてある)とステンレス球とがしゅう動するようになっている。DLC膜をコーティングすることで、低摩擦が実現されることが実感できるであろう。

参考文献
1) 環境に優しいトライボロジー技術,日比・間野・大花,トライボロジスト,57,12 (2012) 794.
2) Tribological properties and characterization of DLC films deposited by pulsed bias CVD, T. Ohana, T. Nakamura, M. Suzuki, A. Tanaka, Y. Koga, Diamond Relat. Mater., 13 (2004) 1500.
3) DLC膜の水中でのトライボロジー特性,大花,NEW DIAMOND,21 (2005) 6.
4) DLC膜のトライボロジー特性,大花,NEW DIAMOND,26 (2009) 35.

図1.DLC膜摩擦特性デモ機

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