アカデミックプラザ2013

研究概要

凍結食品の本当のおいしさを実現する最適解凍技術

研究機関名

東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科 食品冷凍学研究室

代表者

鈴木 徹

本研究の主旨

1.はじめに
これまで,冷凍流通食品の品質向上を目指して様々な研究が行われてきたが,それらのほとんどは凍結工程に関するものであった. 特に解凍工程は,店舗や家庭など,流通の末端で行われることが多いため,これまであまり研究が行われていない. しかし近年,解凍工程は食品の喫食時の品質に大きく関係する非常に重要な操作であることが認識されるようになってきた. 本研究は,専門的な知識を持たずとも,被解凍物の種類や大きさに応じて最適な解凍条件を容易に導き出すことのできる手法の開発を目指すものである.
2.方法
任意の食材,サイズに対して,最適な解凍条件を見出すためには,数値シミュレーションを用いるしかない. しかも,全体として良い品質で解凍を行うためには,解凍中の食品の任意の位置における経時的温度変化を計算で求めることが必要である. 解凍過程は相変化を伴う移動境界問題のため,一般に凍結界面の取り扱いが非常に複雑である. 本研究では,相変化に伴う潜熱を比熱の変化として取り扱う簡易なモデルを採用した. また,熱物性値の推算には,凍結率をパラメータに用いる御木の方法を採用した. 刺身用マグロサクを対象とし,品質評価指標には褐変度(メト化率)を用いて,4種類の解凍法の比較を行った.
3.結果
①35℃温水解凍,②5℃空気解凍,③均温解凍,④3回浸漬解凍,という4種類を想定し,数値計算により解凍終了時のメト化率を求めた. ③均温解凍とは,35℃温水に5分間浸漬した後5℃空気中に移す解凍法で,寿司店などで用いられていると言われている. ④は③を元に考案した方法で,35℃温水に5分間浸漬後5℃空気中に1時間放置というプロセスを3回繰り返し,その後は5℃空気中で最後まで解凍を行う方法である. Fig.1は①35℃温水解凍の温度履歴計算結果で,表面温度は直ちに0℃以上に上昇するが,中心温度が0℃に達するまでに約1 時間かかるため,その間に表面ではメト化が進んでしまう. Fig.2は②5℃空気解凍の結果で,表面と中心の温度差は小さいが,中心温度が0℃になるまでの解凍時間が22.6 時間も掛かってしまう. Fig.3は③均温解凍の結果で,5℃の空気中に移した後は全体的に均一な温度分布のまま解凍が終了する.しかも解凍時間はそれほど掛からない. Fig.4の④3回浸漬解凍では,同様に均一な温度分布でありながらさらに解凍所要時間が短縮される. メト化率の計算結果から,②,③,④の方法はいずれもそれほど変わらず低いメト化率となることがわかった. これより,④3回浸漬解凍が最も優れた解凍法であるという結論が得られた.

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Fig1. ①35℃流水解凍における温度履歴予測

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Fig2. ②5℃空気解凍における温度履歴予測

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Fig3. ③均温解凍における温度履歴予測

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Fig4. ④3回浸漬解凍における温度履歴予測

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