2017国際食品工業展

6月13日(火)~6月16日(金) 東京ビッグサイト・東1~8ホール 10:00~17:00

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研究概要

ワカメやコンブの緑色はなぜ加熱により変色するのか…
- 紅藻ダルスが有する緑色の優れた加熱安定性のメカニズム考察からわかったこと -

研究機関名

北海道立工業技術センター  研究開発部 食産業技術支援グループ

代表者

木下 康宣(キノシタ ヤスノリ)

本研究の主旨

我が国では古くより、海藻が食用として広く利用されてきた。これらの内、褐藻に分類されるワカメやコンブは、原藻では褐色を呈しているがボイルなどの加熱処理によって緑色化し、鍋で煮込むなどの長時間に亘る強い加熱を施すと変色(褐色化)してしまうことが広く知られている。
一方で我々は、これまで国内で産業利用されていない紅藻ダルス属(Palmaria、以下ダルスと称する)の利用開発を図るため、その素材特性に係る試験研究を進め、①原藻で紅紫色を呈するダルスも、ワカメやコンブと同様ボイルなどにより緑色化するが、その色調は120℃で15分の加熱を施しても失われないこと、②ダルスが有する緑色色素の主体は、ワカメやコンブと変わりのないクロロフィルaと考えられること、③120℃で15分加熱すると、ワカメやコンブでは灰黒色を呈する色素が多数生成されるがダルスではそれが乏しいこと、④ダルスでは、有機酸の種類によらず低pH環境によって変色が起こることなどを明らかにしてきた。
そこで、本研究では、更にダルスが有する優れた色調安定性のメカニズムに係る知見を得ることを目的に、一般的に多くの海藻に含まれることが知られており、かつpH変動要因としての側面も持ち合わせていると予想されるアミノ酸およびアルギン酸が加熱時の色調に及ぼす影響を検討した。その結果、ダルスにL-グルタミン酸を混和すると冷蔵保存で既に変色が起こり、その後の加熱処理でそれが加速されることがわかった(図参照)。また、ダルスにアルギン酸を混和した場合では、冷蔵保存で変色は起こらないものの、それを加熱処理すると添加量が多いほど早く変色が起こることが確認された。このことから、優れた色調安定性を示すダルスにおいても、酸性アミノ酸として知られるL-グルタミン酸や酸性多糖として知られるアルギン酸が存在すると、加熱時の変色が促進されることが明らかになった。この結果は、ダルスに比べてワカメやコンブで変色が起こりやすいのは、こうした物質が豊富に含まれていることが一因である可能性を示唆している。
こうした成分、特にL-グルタミン酸についてはこれまで、その含量が多い方が一義的に良いと理解されてきたように思われる。しかしながら、今回得られた結果は、その含量が少ない資源でも違った利用価値の創造を図ることができることを示唆していると思われ、興味深い。

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