2019国際食品工業展

7月9日(火)-7月12日(金) 東京ビッグサイト・東1-8ホール 10:00-17:00

研究概要

売れる商品を開発するためのシーズ活用などの高付加価値化の取り組み(2)
 ―エクストルージョンクッキングによる健康志向等の高付加価値製品の開発可能性―

研究機関名

日本大学 生産工学部 マネジメント工学科 五十部研究室

代表者

五十部 誠一郎

本研究の主旨

2軸エクストルーダーの多くの機能を複合的に利用することで従来の食品加工工程では複数の装置を用いていた多段階の工程を連続的に1台で担うことも可能であり、優れた連続処理性や様々な機能を利用して生産効率を向上しようとする試みから多くの食品分野での応用が試みられてきた。今回は、筆者らが日本油脂と研究を実施して取得した特許の考え方を基に、筑波大学大学院の伊東氏と実施した事例について紹介する。実験は澱粉(コーンスターチ)と大豆油を原料として配合して、図1の条件で処理し、得たサンプルについて、糊化度(DG)、保水力(WAI)、冷水溶解性(WSI)などを評価した。さらにエクストルージョンクッキングにより調製した澱粉-油脂混合物の消化吸収性についてはSDラットを用いて検討を行った。処理物の物性の評価では、エクストルーダーの処理により、糊化とデキストリン化が複合的に生じたことで、澱粉が作る骨格も異なっていると考察され、さらに澱粉と油脂を混合・混錬しながら澱粉構造を構築しているため、あらかじめ糊化された澱粉と油脂を混合した場合と比べて油脂がより強固に澱粉骨格に包含され、澱粉が消化されるまで消化管に放出されない結果、消化が遅延または抑制されたのではないかと示唆された。そのため、この条件で調整した飼料での動物試験を実施した結果、エクストルーダー処理と未処理を比較して、糞中中性脂肪量が優位に増加し、油脂の消化吸収抑制効果を示した(図2)。これらの結果は、物理的な処理を行うことで、脂質の消化吸収制御の可能性を示したものであり、いわゆる油が持つ食感やコクといった美味しさにつながる特徴を生かしながら、消化性の制御により摂取カロリーを抑えることができる、いわばQOLの高いダイエット食品を提案できるのではと期待している。
1980~90年代に多くの研究機関や食品企業、さらに機械メーカーが活発に研究開発を進めていたエクストルージョンクッキングであるが、その際にはニーズのなかったことが新たなニーズとなったり、周辺技術の進歩により精度の向上やコストの低減から、その当時にはとても実用化には向かないプロセスが可能となることも十分考えられる。さらにエクストルーダーの主用途となる樹脂などの加工分野においても様々な装置の進化や複雑な形状での押出が可能となっており、これらの技術などを利用することで、新たなエクストルージョンクッキングが展開されることも期待される。

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