アカデミックプラザ

研究概要

スマイルケア食への期待と課題 -2025年に向けた高齢者用食品の対応と課題-

研究機関名

新潟大学 地域連携フードサイエンスセンター
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 摂食・嚥下リハビリテーション学分野

代表者

井上 誠

本研究の主旨

日本の人口の高齢化は年々進行してきている.
平均寿命の延びを反映して高齢者率は伸び続け,2015年には26%を超え,今や4人に1人が高齢者の時代である.
人口の高齢化や疾患の多様化が進んだことにより,生き延びることのみではなく,どのように生きるかという生活の質(Quality of Life, QOL)を考えることに注目が集まっている.
ことに,高齢者の楽しみのひとつである「食べる」ことは,生活の中でも重要な要素である.
高齢者では,食べる機能の衰えにより誤嚥や窒息などが原因で亡くなる人の数が多い.
食べることを考える上で,食べる側の「ヒト」と食べられる側の「食品」を研究対象として,どのようにすれば「咬みやすく」,「飲み込みやすく」,「誤嚥しにくい」食品ができるかを知ることが必要である.
これまで我々は,嚥下困難者がもつ障害を正しく把握し,それぞれの症例(障害)に応じた食品学的対応を行うための第一段階として,正常な嚥下動態を定量化したり,食品の物性条件が嚥下機能に与える影響を検索するために嚥下関連筋活動とレントゲンビデオや内視鏡による食物動態の同時記録を行い,食品の物性と筋活動の大きさや持続時間,また各活動のタイミングや食物動態との同期性を調べてきた.
近年,FOOMAなどを起点として交流を開始したさまざまな企業との交流の中で,市販されている食品などの摂取時の生体機能評価や食品・食器具などの開発に携わる機会が増えた.
そこには餅食品の安全性を検証したもの,錠剤の形状などが飲み込みに与える影響を調べたもの,高齢者にやさしい紙パックの形状についての検証などが含まれており,要介護高齢者や嚥下障害者に提供されている食品などの安全性を検証する上でも上記の研究ツールの有用性が注目されている.
生体反応は機械的,画一的,定型的パターンをとらず,さらに経験や習慣,嗜好などを加味して評価されなければならない.
わたしたちの研究が,食品産業における消費者の多様なニーズに対応し,食品技術の向上や発展に寄与できることを願っている.

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