アカデミックプラザ

研究概要

重曹・高圧併用処理によるレトルト牛肉の品質改善技術

研究機関名

新潟大学 地域連携フードサイエンスセンター
新潟大学 農学部 応用生物化学科 畜産製造学研究室

代表者

西海 理之

本研究の主旨

食品加工への高圧処理の利用は、約30年前に日本で初めて提唱された新しい技術であり、この概念は現在のどの加工技術と全く異なる。それ故、まだ確立された技術とはなっていないが、最近,世界的に「非加熱食品加工技術」として注目され、また現在,学術的知見がかなり蓄積されてきており、世界中で食品製造・加工技術へと展開しつつある。今回は、当研究室で長年技術開発を行い、実用化に極めて近くなった重曹・高圧併用処理による各種食肉の軟化技術を紹介し、特に、極めて硬い牛肉(輸入牛肉)を国産牛肉程度にまで品質を向上し、且つレトルト耐性や保存性・機能性・調理特性の向上など、商品化や流通に資する技術データを紹介する。本研究結果の概要は、以下の通りである。
(1) 水分含量およびクッキングロスの測定から、重曹処理は加熱時の牛肉からの肉汁の流出を抑制し、一方高圧処理はレトルト処理による過加熱時の肉汁の流出を抑制することが示された。剪断応力,圧縮応力,破断応力などの物性測定から、重曹処理よりも高圧処理で筋線維の脆弱化効果が大きい一方で、結合組織あるいは筋線維の変性・癒着は重曹処理の方でより大きかった。重曹処理,高圧処理は共に咀嚼時の食肉のほぐれやすさに寄与し、また、高圧処理はレトルト後の牛肉の軟化効果が大きかった。官能評価からも、重曹・高圧併用処理を用いたレトルト牛肉は「やわらかさ」「ジューシーさ」「残留感」「飲み込みやすさ」「おいしさ」すべての項目で有意に高かった。以上の結果により、重曹処理と高圧処理を併用することで、保水性が高くて歩留まりがよく、柔らかくて咀嚼しやすく、おいしいレトルト牛肉の開発が期待できる。
(2) 長期保存性の検討から、重曹・高圧併用処理レトルト牛肉は2年間の保存後も水分の損失が全くなく、軟化効果も大きかった。また、レトルト後の長期保存による微生物の増殖や汚染・変敗は認められなかった。

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