アカデミックプラザ

研究概要

食品中の放射性物質の動態の研究

研究機関名

農研機構 食品研究部門(旧食品総合研究所) 放射性物質影響ワーキンググループ
福島県農業総合センター 生産環境部流通加工科

代表者

濱松 潮香

本研究の主旨

東日本大震災後の東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の環境中への放出により、農畜産物が汚染され、食品中に放射性物質が含まれる事態となった。私たちは、震災直後から農作物の加工・調理における放射性セシウムの動態解析に取り組んできた。動態解析を行なうことで、加工・調理による放射性セシウムの濃度と量の変化を把握することができ、加工・調理品の放射性セシウム濃度・量を原材料からおおよそ予測することが可能となる。このことは、行政における食品全体でのリスク管理、およびフードチェーンに携わる人々や消費者の放射能の影響に関する正しい理解促進に貢献すると考える。本研究では、果実(ウメ、リンゴ、ブドウ、ブルーベリー)の加工・調理における放射性セシウムの濃度と量の変化を調べ、加工係数と残存割合(Fig. 1)を示した。
・モモとリンゴ(Fig. 2 )のコンポート加工
シロップに原料果実を浸して加熱する加工であり、シロップ液への放射性セシウムの移行により放射性セシウムが除去され、加工後のコンポート果実の放射性セシウム量は低下した。
・ウメとブルーベリーのジャム加工(Fig. 3, 4)
原料に糖を加えて加熱濃縮を行なうため放射性セシウムは除去されない。濃縮加工で水分が蒸発するため、放射性セシウム濃度の上昇が予測されたが、糖の添加にともなう質量増加による濃度低下の影響が大きく、加工後のジャムの濃度は原材料の濃度よりも低下した。
・モモとブドウのドライフルーツ加工
乾燥加工では放射性セシウムは除去されない。水分の蒸発に伴う全体質量の減少により、放射性セシウム濃度が上昇する。
今回の結果から、乾燥加工において原料果実の濃度に留意する必要があるが、それ以外では非食部の除去や糖やシロップ添加により放射性セシウムが減少することが明らかとなり、実際に食事として摂取する濃度はより安全性が担保されていると考えられる。

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