アカデミックプラザ

研究概要

乳化魚油噴霧乾燥粉末の酸化安定性

研究機関名

香川大学 農学部 応用生物科学科 食品工学研究室
アグロスップ技術大学 食品科学コース(フランス)

代表者

吉井英文

本研究の主旨

近年,生物から分離・精製された生理活性物質を機能性食品素材として用いる研究が多く行われているが,熱,光,酸素などに対して不安定なものが多い.これらを安定して使用できる形態としたものが粉末化である.しかし,生理活性物質の粉末化や保存中の安定性に関する研究は,数少なく極めて定性的なものが多い.我々の研究室では,液体脂質,抗菌・香気物質,生理活性蛋白質のモデル酵素などを噴霧乾燥法により粉末化する場合の「乾燥中に安定な粉末化手法開発」と「乾燥粉末の保存中の特性変化」について,工学モデルの構築を目指して研究を行っている.具体的には,(1)噴霧乾燥粉末の形態特性とフレーバーの徐放,(2)乳化油含有クリームの物理的特性,(3)魚油の噴霧乾燥粉末化,などのテーマを,食品粉末の緩和現象解析の視点から化学工学,反応工学の手法を用いて取り組んでいる.
機能性食品としてn-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚油が注目されている.油脂の安定化手法の一つとして,噴霧乾燥法によるマイクロカプセル化がある.酸化安定性に優れた噴霧乾燥粉末を作製するには,粉末表面に露出した油の割合(表面油率)を少なくすることが重要である.そこで,本研究では,乳化魚油粉末の酸化安定性に及ぼすマルトデキストリン(MD)のDextrose Equivalent(DE)値の影響について検討した.作製粉末の貯蔵時のPV変化を、温度40、60、105_Cに静置し粉末全体、粉末内魚油、粉末表面魚油について測定した。その結果、粉末表面の魚油のPV上昇が、粉末内の魚油のPV増加と比較して著しく大きいことが明らかとなった。包括された魚油は安定であること、賦形剤としてDE25及び DE19で作成した粉末はDE11に比べて低いPV値を示し,高い酸化安定性を示した.この要因は,DE11を使用した粉末はDE19及びDE25を使用した粉末に比べて粉末中の空孔径が大きく表面油率が高いため,粉末の表面油が酸化されやすいためと考えられる.
.【Fig. 1,2参照】

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