アカデミックプラザ

研究概要

乾燥による高品質食品の製造定化と機能性食品のクロマト分離

研究機関名

山口大学 工学部 応用化学 大学院 医学系研究科 応用分子生命科学系 バイオ・プロセス工学研究室
ナミクケマル大学農学部農業機械工学(トルコ)

代表者

山本修一

本研究の主旨

結晶化しない糖溶液を乾燥すると表面に皮膜が形成されます。水より大きい香り成分分子はこの皮膜を透過できず、封じ込められます(図1)。皮膜が早く形成されると香りの保持が良くなることは実験と計算のどちらからも明らかになっています。例えばショ糖とマルトデキストリン(比較的分子量が大きいデンプン加水分解物)を比べるとマルトデキストリンのほうがはるかに高い香り保持率となります(図2)。熱に弱い物質(酵素)では、皮膜形成までは比較的低温なので酵素活性は保持されます。皮膜形成後、温度が上昇しますが水分濃度(水分活性)の低下により安定化されます(図2)。皮膜形成剤などの添加物による乾燥製品の品質制御は、酵素や香り成分のみならず吸湿性の制御にも有効です。食塩を含む糖溶液の乾燥では食塩は結晶化せず、高い保水性を示します(図3)。一方、保存中に結晶化するとケーキング(固結)を引きおこす可能性もあります。
スライス野菜の乾燥において前処理は、乾燥時の収縮変形・変色・変質を抑制し、復水性に優れた製品を得ることができます。図4はその一例です。ブランチング(水蒸気加熱)と糖溶液への浸漬という前処理が著しい効果をもたらしています。乾燥後の色彩色調も重要な品質です。デジカメ画像による簡な定量化方法を確立し、ブランチングと糖溶液浸漬が乾燥レモンピールの良好な色彩保持を可能にすることを明らかにしました(図5)。オゾン処理も保存時の防黴に有効です。
クロマトグラフィーはバイオ医薬品の重要な分離手法ですが、食品はバイオ医薬品のように高価ではないので経済性を詳細に検討する必要があります。また利用できる溶媒が限定されるなどの制約条件もあります。一例として2種類のカテキンの分離実験結果とシミュレーション結果の比較を図6に示します。このように食品クロマト分離プロセスを簡単な実験データから設計あるいは最適化できる手法を開発しています。

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