アカデミックプラザ

研究概要

次亜塩素酸水溶液を用いた通風気化システムによる空間微生物の制御

研究機関名

三重大学 大学院 生物資源学研究科 海洋微生物学研究室

代表者

福_ 智司

本研究の主旨

近年、空中浮遊菌や表面付着菌による食品の二次汚染防止や感染症対策として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた種々の空間除菌装置が普及している。本研究では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた繊維フィルタ内を強制通風させる通風気化式の浄化システム(以下、空間清浄機)について検討した。
この空間清浄機では、室内空気を装置内部に吸引してフィルタ表面の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と接触させて微生物の殺菌を行うだけでなく(パッシブ式)、処理後の吹き出し空気に含まれる揮発した次亜塩素酸による表面付着菌の殺菌も可能であることがわかった(アクティブ式)。
図1に、三重大学の水産製造実験工場内(室内空間:483 m3;無人下)の任意の10箇所に寒天栄養培地入りシャーレを設置し、空間清浄機2台を8時間稼働(4 m3/min×2台)したときの落下菌数を示す。空間清浄機の稼働により、浮遊落下菌によるコロニー形成総数は稼働前と比較して約70%減少した。
有効塩素成分は、ほぼ一定の速度で揮発し、次亜塩素酸水溶液のpHが低いほど揮発量が多いことがわかった(図2)。また、次亜塩素酸の揮発量は、有効塩素濃度、風量に依存して増加した。
付着菌(黄色ブドウ球菌)に対する殺菌試験では、pH 5の次亜塩素酸水溶液を供給した場合、付着菌の生残率は時間とともに減少し、5時間の暴露で3 log(99.9%)の減少に達した(図3)。一方、pH 10の次亜塩素酸水溶液を供給した場合、5時間の稼働では付着菌死滅は0.3 logにとどまった。付着菌の死滅挙動は、次亜塩素酸の揮発量と相関していた。以上の結果から、本空間清浄機の吹き出し空気に含まれる揮発次亜塩素酸は、室内空間の微生物制御に有効活用できる可能性が示唆された。

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