アカデミックプラザ

研究概要

凍結乾燥ガラス固化による機能性成分および乳酸菌の常温安定化

研究機関名

広島大学 大学院 生物圏科学研究科 食品工学研究室

代表者

川井清司、羽倉義雄

本研究の主旨

生物由来の材料(バイオマテリアル)は様々な形で産業利用されている。しかし、それらの中には不安定で保存できないものが多く存在する。凍結保存が可能なものは比較的多いが、恒常的な低温管理には流通、販売、コスト面で問題を残す。更に、一部には凍結保存さえ適用できないものある。このような材料を安定化し、保存性を確保することは、産業上極めて重要な課題である。我々の研究グループでは、糖質ベースの保護剤によって不安定な酵素をガラス固化することで、常温安定化する方法を検討している。対象となる酵素に糖質ベースの保護溶液を加えて凍結すると、氷結晶の生成によって溶質相は濃縮(凍結濃縮)された結果、ガラス状態になる。このガラスの中には酵素も一成分として取り込まれている。ガラスは粘性が非常に高い液体(流れることができないため、見かけ上は固体)であるため、その中に閉じ込められた酵素も巨視的な分子運動性を失い、様々な劣化が停滞する。したがって、ガラス包埋によって酵素の安定化が実現される。更にこの状態から減圧して水を蒸発(凍結乾燥)させると、ガラス相に対して可塑剤として働いていた水分子が取り除かれた結果、酵素をトラップしたガラスを常温で維持することが可能になる。この状況は、琥珀に閉じ込められた昆虫が長期間変わらず保存されるのと似ている。これまで、乾燥耐性の弱い酵素や乳酸菌を対象として、それらの常温安定化を検討してきた。これらの知見を活用することで、従来は保存が困難であったバイオマテリアルの常温安定化が期待される。

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