アカデミックプラザ

研究概要

食感のみえる化~口腔内部位と時間軸に着目した破壊過程からのアプローチ~

研究機関名

明治大学 農学部 農芸化学科 食品工学研究室

代表者

中村 卓

本研究の主旨

 食品の「おいしさ」において食感は重要である。その食感は咀嚼による食品構造の破壊過程で力学特性と構造状態の変化が知覚・認知され言葉で表現される。例えば、食品物性に結びついた知覚レベルの食感(かたさ・ねばり・粗滑・大小)を表現する。さらに、これらの食感の組み合わせを好ましいと認知すると「おいしい」食感(例えば:とろ~り・もちもち・サクサク)として表現する。つまり、食品構造が食感を決定すると考えられる。そこで、我々の研究室では、食品の構造を設計することで食感をデザインする『食品構造工学』の確立を目指している。
本研究では、食品構造の破壊過程に注目し、咀嚼を部位(切歯・臼歯と舌・口蓋)に分け、時間軸(第一咀嚼と第二咀嚼以降)沿って解析し、知覚レベルの「食感の違い」と認知レベルの「おいしい食感」をみえる化することを目的とした(Fig.1)。

① 歯による破壊:プロセスチーズ (Fig.2)
第一咀嚼をモデルとした、くさび型の治具を使った破断試験(応力歪曲線)時の力学特性と動画撮影・顕微鏡観察を組み合わせて解析した。特に、亀裂(クラック)の形成と知覚レベルの「かたさ」との関係をみえる化した。
② 舌・口蓋による破壊:プリン (Fig.3)
おいしい食感表現として「とろ~り」を例に挙げて解析した。特に、咀嚼後半の構造破壊以降の力学特性と構造変化に着目し、そのモデルとして動的粘弾性歪スイープ測定での非線形領域における粘弾性の変化と食感の相関を明らかにした。さらに、破壊構造の観察結果を組み合わせ「とろ~り」食感を以下の様にみえる化した。官能評価の結果より、「とろ~り」食感には、第1咀嚼においてやわらかく、第2咀嚼以降でなめらかで、口どけが良く、ざらつきが小さいことが大きく寄与していた。この“やわらかさ”は応力-歪曲線における応力値から説明できた。動的粘弾性試験における緩やかな粘度低下、破壊構造観察における亀裂が無く、均質な破壊構造によって“なめらか”で“くちどけ”が良く、“ざらつき”が小さくなったと考えられた。

以上の様に、食品構造がどの口腔内部位で破壊され、咀嚼過程の時間軸に沿ってどのような力学特性と構造状態を発現するのかを、咀嚼モデルとした機器測定と構造観察を組み合わせて明らかにした。これは、チーズやプリンだけでなく、歯で噛む食感、舌で潰す食感として一般化でき、感性としての「おいしさ」を具体的な「食品構造」へ落とし込むことで食品開発や素材のアプリケーション開発を進めるための基盤となると考えている。

Fig.1 食感のみえる化の概念図

Fig.1 食感のみえる化の概念図

Fig.2 プロセスチーズの荷重ひずみ曲線と動画撮影

Fig.2 プロセスチーズの荷重ひずみ曲線と動画撮影

Fig.3 市販4種類のプリンの破壊構造観察

Fig.3 市販4種類のプリンの破壊構造観察

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