アカデミックプラザ

研究概要

農業および食品製造における膜分離技術の応用

研究機関名

(独)農研機構 食品総合研究所 食品工学研究領域 反応分離工学ユニット

代表者

萩原昌司

本研究の主旨

 加熱を伴わない分離・精製技術である膜分離技術は、食品の品質を高く維持したまま低コストで省エネルギー的に分離・精製することが可能である。また、食品素材そのものからの着目成分の分離・精製だけでなく、副産物から着目成分を分離・濃縮可能な膜分離技術は、素材の有効利用の観点からも優れた特徴を有しており、食品製造の多種多様な用途に利用可能な加工技術の一つである(図1)。さらに、逆浸透を利用した海水淡水化、かん水淡水化技術などは水道や農業生産などに有効に利用される技術である。
 東日本大震災により太平洋沿岸に巨大な津波の被害を受けた地域では、灌漑に使用していた地下水が塩水化し栽培用水の確保が困難となっている。そこで被災した農地において農業用水(地下水)を脱塩し安定的な園芸施設用の栽培用水を低コストで確保することを目的に、塩水化した地下水から約7 m3/dのRO水を製造可能な低圧逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane:RO膜)装置を導入し、長期間の安定した稼働を確認した(図2)。
 食品分野では、逆浸透(RO)と限外ろ過(UF)の中間的な性質を持つナノろ過(NF)膜を用いて機能性成分の分離精製が可能である。今回はクランベリー果汁から防菌防カビ効果のある安息香酸(分子量122)の分離に関して紹介する。ナノろ過膜のスクリーニングを行い、pH等の操作条件を調整することで安息香酸を選択的に分離できることが示された(図3,4)。

図1 膜ろ過の種類と分離対象の一例

図1 膜ろ過の種類と分離対象の一例

図2 検証用RO装置と稼動状況

図2 検証用RO装置と稼動状況

図3 クランベリー果汁のNF処理時の各成分の挙動

図3 クランベリー果汁のNF処理時の各成分の挙動

図4 pH調整時おけるクランベリー果汁の透過特性

図4 pH調整時おけるクランベリー果汁の透過特性

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