アカデミックプラザ

研究概要

野生動物肉の加工利用のための技術開発:加工法と製品特性について

研究機関名

麻布大学・獣医学部・食品科学研究室(肉組)

代表者

坂田亮一

本研究の主旨

 現在、野生動物による農作物の食害や接触事故などが増加の一途をたどり、その被害額は年間200億円以上に達する。そのため、個体数の調整を含め、貴重な自然資源であるシカを有効利用する試みが全国で行われている。シカ肉は、牛肉や豚肉に比べ高タンパク質かつ低カロリーで高栄養価であり、鉄分の含有量も非常に高い。そこで、本研究では加工技術の中で血絞りによるシカ肉の保存性と、加工適性を調べ、野生シカ肉の食肉利用の可能性について検討した。
 方法として、神奈川県丹沢湖周辺で捕獲されたシカ肉(もも部分)を用い、血絞り区と、無処理区とし、それぞれで冷蔵または凍結保存を行った。その血絞り区でベーコン作成し凍結保存し、脂質酸化の指標としてTBARS値を測定した。またシカ肉ジャーキーを作成し、発色剤無添加区と発色剤添加区で官能検査を行った。さらにシカ肉製品の水分含量と水分活性を調べ、牛肉ジャーキーと比較とした。
 TBARS値は生肉の場合、血絞り区で有意に低い値となり、保存中の脂質酸化の上昇が血絞りによって抑制された。ベーコン凍結区では塩漬によって血絞りと同様の効果がもたらされ、有意に低いTBARS値が得られ(P<0.05)、塩漬を行うことによって血絞り以上に脂質の酸化が抑えられた。
 シカ肉ジャーキーの官能評価から、色調において発色剤無添加区より発色剤添加区の方が有意に高かったが、香りや味に有意差が認められず、食感では無添加区の評価が高かったことから、官能的特性として発色剤を添加する利点は一般の食肉製品より低いと思われる(表1)。
 シカ肉も牛肉同様の乾燥時間で、問題なく水分や水分活性が低下し(図1,2)、乾燥食肉製品の加工原料としても野生シカ肉は高い適性があることを示した。
 以上の結果を踏まえ、当研究室ではシカ肉加工品の試作を継続している(写真)。

シカ肉ジャーキーの官能評点

表1. シカ肉ジャーキーの官能評点

乾燥時間による水分含有量の変化.

図1. 乾燥時間による水分含有量の変化.

乾燥時間による水分活性の変化.

図2. 乾燥時間による水分活性の変化.

シカ肉ハム・ベーコンの試作

写真.シカ肉ハム・ベーコンの試作
麻布大学食肉加工場にて.

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