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研究概要

過冷却現象を利用した次世代の食品冷凍技術

研究機関名

東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科 食品冷凍学研究室

http://www2.kaiyodai.ac.jp/~mwat/

代表者

鈴木 徹

本研究の主旨

1.はじめに
冷凍は,あらゆる食品を生と変わらない状態で長期保存できる可能性を持つ唯一の保存法である.しかし原理的な欠点として,氷結晶が生成・成長して,食品の組織構造に損傷を与えてしまうということがある.
損傷を最小限にするため,急速凍結と低温保存により,氷結晶をできるだけ小さくする,というのが,食品冷凍技術が実用化されてから現在まで50年以上にわたって,未だに唯一の対策として使われている方法である.
しかし最近,過冷却の利用が注目を集めている.本研究は過冷却を経て凍結させることで,凍結食品の高品質化につながることを実証することを目的とする.

2.実験について
実験サンプルには細胞構造を持たず,氷結晶構造が観察しやすいという理由から,市販の充填絹豆腐を用いた.サンプルは所定のサイズに切り出し,水気を拭き取った後,表面の乾燥を防ぐためラップで包み,温度測定のため熱中心にT型熱電対を挿入した.
低温インキュベータを-9 ℃に設定し,サンプルを冷却した.-2 ~-8 ℃ まで2 ℃ ごとに変えた4条件で過冷却を解消させた後,-80 ℃ のストッカー内でさらに凍結を行った.
凍結曲線の一例をFig.1に示す.ただしこれは-40 ℃ のストッカーを用いた場合のものを参考のために示したものである.
品質指標としては,氷結晶観察とドリップロス率測定を行った.

3.結果
Fig.2は過冷却解消温度を変えて凍結させた場合の組織切片画像である.図より,解消温度が低くなるほど,氷結晶のサイズが小さく,個数は多くなっているように見える.この傾向は,画像解析により定量的に確認された.
Fig.3は過冷却解消温度を変えた場合のドリップロス率である.解消温度が低くなるにつれてドリップロス率も低くなる傾向が見られた.これより,過冷却を深くさせてから凍結することで,氷結晶を微細化させ,組織へのダメージを抑制できることが定量的に示された.

過冷却を経て凍結させた豆腐サンプルの凍結曲線(解消温度-6 ℃ )

Fig.1 過冷却を経て凍結させた豆腐サンプルの凍結曲線(解消温度-6 ℃ )

異なる過冷却度で解消させて凍結した豆腐サンプル内の氷結晶観察写真

Fig.2 異なる過冷却度で解消させて凍結した豆腐サンプル内の氷結晶観察写真

過冷却解消温度がドリップロス率に及ぼす影響

Fig.3 過冷却解消温度がドリップロス率に及ぼす影響