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研究概要

ガスプラズマを用いた農産物の殺菌・消毒法の開発

研究機関名

1 佐世保工業高等専門学校・電気電子工学科・レーザープラズマ研究室
2 琉球大学・医学部保健学科
3 佐賀大学大学院・工学系研究科
4  大阪府立環境農林水産総合研究所

代表者

1 柳生 義人  2 作道 章一  3 三沢 達也    4 西岡 輝美、高井 雄一郎

本研究の主旨

1. 解決すべき問題および本研究の目的
  殺菌・消毒技術は消費者にとって豊かで安心できる食生活を送る上でなくてはならないものであり、更なる向上が求められる。特に海外や離島から輸入される農作物は、長距離・長時間輸送されることがあるが、その際にカビ繁殖が重要な問題となる。しかし、我が国ではポストハーベスト農薬の使用が禁止されており、収穫後に殺菌・消毒を行う有効な方法がない。また、カット野菜などの加工食品や生鮮食品の殺菌・消毒には次亜塩素酸ナトリウムが用いられることが多いが、残留塩素や作業者への毒性および金属腐食など問題が指摘されている。我々は、農作物や畜産物などの生鮮食品を人体および環境に対して安全に殺菌・消毒できる新しい技術としてプラズマを用いた殺菌・消毒法の開発を目的として研究開発を遂行している。
2. ガスプラズマ照射の効果
  細菌や真菌、バクテリアなどの微生物にプラズマを照射することで微生物を殺滅することができる。例えば、大気圧下で生成したプラズマを大腸菌に照射することで、大腸菌を不活化することができる(Fig.1)。本研究ではガスプラズマの特性を活用し、農作物を中心に食品(青果物、食肉、種子(籾)、穀物など)に対するガスプラズマの殺菌効果の解析やメカニズムの解明を行っている。また、ガスプラズマを用いた殺菌・消毒装置の開発ため、処理能力の拡大や照射対象に対する最適化にも着手し、ガスプラズマを用いた殺菌・消毒法の確立および装置の実用化に向けて多方面から精力的に研究を遂行している。
3. ガスプラズマ照射による農作物の殺菌消毒例
  農作物に対してガスプラズマを照射した実験例をFig.2に示す。大気圧下で生成したガスプラズマを5分間に渡りレタスに照射した結果、その一般生菌数は処理前と比較して99%減少しており、高い殺菌消毒効果を達成することができた(Fig.3)。その他にも青果物や種子、食肉などにガスプラズマを照射することで殺菌・消毒効果を確認している。
4. 想定される用途
  ・食品(農作物、畜産物、水産物、加工品など)の殺菌・消毒処理
  ・フィルム包装や箱詰め直前の殺菌・消毒処理
  ・青果物、生鮮品などの輸送や貯蔵時の殺菌・消毒処理
  ・カット野菜やカット果物への殺菌・消毒処理
  ・穀物や種子の殺菌・消毒処理
  ・鶏卵の殺菌・消毒処理
  ・インライン(組み込み型)および携帯型ガスプラズマ殺菌・消毒装置の開発
5. 謝辞
  本研究は、農研機構・生物系特定産業技術研究支援センターイノベーション創出基礎的研究推進事業(技術シーズ開発型研究)により実施された。
ガスプラズマによる大腸菌の殺菌・消毒

Fig.1 ガスプラズマによる大腸菌の殺菌・消毒
  (a)大腸菌へのガスプラズマ照射、(b)大腸菌が不活化された様子

農作物に対してガスプラズマを照射した実験例

Fig.2 農作物に対してガスプラズマを照射した実験例

ガスプラズマ照射後のレタスの殺菌・消毒効果

Fig.3 ガスプラズマ照射後のレタスの殺菌・消毒効果