出展のご案内

研究概要

LNG冷熱を利用した超低温冷凍保存法の開発
Development of the food refrigeration method
for using cryogenic temperature of LNG

研究機関名

地方独立行政法人 青森県産業技術センター食品総合研究所
Food Research Institute,Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center

〒031-0831 八戸市築港街二丁目10

TEL:0178-33-1347  FAX:0178-33-0321

http://www.aomori-itc.or.jp/index.php?id=24

地方独立行政法人 青森県産業技術センター八戸地域研究所
Hachinohe Industrial Research Institute,Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center

〒039-2245 八戸市北インター工業団地一丁目4-43

TEL:0178-21-2100  FAX:0178-21-2101

http://www.aomori-itc.or.jp/index.php?id=2904

E-mail: kenichi_kudo@aomori-itc.or.jp

代表者

担当:青森県産業技術センター 食品総合研究所 所長 山日達道,部長 松原 久

担当:青森県産業技術センター 八戸地域研究所 所長 工藤謙一,部長 佐々木正司,赤平亮研究員

本研究の主旨

1.研究の概要と全体の目的
八戸地域では,2015年にJX日鉱日石のLNG基地の稼働が予定されている.
 我々はこのLNGを地域エネルギーと捉え,その活用の一つとしてLNGの持つ冷熱を利用した超低温食品冷凍保存法の開発を行っている.遠隔地である青森県の農水産物を高品位で大消費地へ届けるには,冷凍技術は必要不可欠な技術である.本プロジェクトでは,通常の凍結温度より更に低い-60℃~-100℃の超低温冷凍技術を開発し,高鮮度で付加価値の高い製品を大消費地へお届けする事を目的としている.
 今回,その取り組み(先行研究の紹介)と今後の研究開発について報告する.

2.青森県の取り組みについて
 JX日鉱日石グループは,今まで大規模な天然ガス供給施設もインフラも無かった北東北地域において,2007年に八戸LNG基地(二次基地:国内一次基地からの内航船受入基地)の運転を開始している.そして,今回,八戸LNG輸入基地建設プロジェクトとして,28万キロリットルの天然ガス受入可能な一次基地(輸入基地)を建設し,2015年4月の運転稼働を目指している(JX日鉱日石社資料より).
 青森県においては,平成23年10月の県議会における一般質問で,八戸港に建設中のLNG輸入基地の2015年稼働に伴い発生する冷熱エネルギーについて,知事は『八戸に建設されるLNG基地は,地域資源と捉え,利活用に関する研究に産学官金の英知を結集して取り組む』と超低温冷凍技術や燃料電池での利活用に前向きな姿勢を示した(東奥日報平成23年10月5日).
 これにより県は,低炭素型ものづくり産業振興事業費(低炭素社会づくりに貢献する技術開発を促進し,域外からの外貨獲得,雇用の創出・拡大を図るため,「青森県型低炭素型ものづくり産業振興指針」に基づき,産学官金連携体制の強化,支援体制の充実,研究開発支援拠点機能の充実・強化,イノベーションを創出する経営基盤の構築を推進するのに要する経費)にLNG利活用研究開発強化事業費(5,729千円)を予算計上した.
 また,平成24年4月には,「八戸LNG輸入基地」の稼働に先立ち,産業界を中心として地域全体のLNGの利活用に向けた機運の醸成を図るため,LNG利活用に係わる調査,利活用の方策を検討する産学官金で構成するLNG利活用推進協議会を開催する予定である.本研究は,青森県型低炭素ものづくり産業振興事業のLNG利活用研究開発事業を受託した,地方独立行政法人青森県産業技術センター八戸地域研究所が中核機関となり,地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所との共同研究である.なお,プロジェクトには,八戸工業大学,東京海洋大学,独立行政法人水産大学校が参画している.

3.高鮮度水揚げサバの冷凍による鮮度保持
1)研究目的
 -80℃,-100℃などの超低温領域での農水産物の保存を目的とした超低温冷凍技術開発に先立って先行研究として,「高鮮度水揚げサバの冷凍による鮮度保持」に関する研究を行った.
 高鮮度で水揚げされた陸凍サバ(陸上で凍結する)及び船凍サバ(船上で凍結する)の陸上における取り扱い条件を確認し,高鮮度な冷凍サバを提供可能にすることを目的としている.

2)実験方法
①.試料
(ア)船凍サバ:平成23年 11月17日に漁獲され,船上で-18℃以下のブライン液10倍量により2時間以上凍結した.次いで-40℃で48時間以上保管して,11月21日に陸揚げ後,-60℃の陸上保管庫に1日間保管した体重423~789gのマサバを供試した.
(イ)陸凍サバ:平成23年10月28日に漁獲,水揚げされ,-60℃冷凍庫で一夜凍結した体重507~925gのマサバを供試した.同サバはセリ前の船倉上部から比較的鮮度良好なものを入手したものである.

②.試験区分
 -10,-20,-30,-40,-60℃の各温度で保管し,0,0.5,1,2,4,6,8,10ヶ月保管後の鮮度を分析する.今回は,-20,-40,-60℃の保管2ヵ月目までのサンプルについて分析した.なお,各サンプルは採取した後,脱気して-60℃に保管し,適宜分析した.

③.鮮度評価
(ア)pH:9倍量のヨード酢酸ナトリウムとホモジナイズし,卓上pH計で測定した.
(イ)核酸関連物質:サンプル1g前後を正確に採取したものに10%PCA5mLを加えてすり潰し,遠心分離した上清を水酸化カリウム溶液でpH6.8に調整し,HPLCで分析した.

pH測定結果

pH測定結果

鮮度変化(K値)

鮮度変化(K値)

IMP(イノシン酸)の割合

IMP(イノシン酸)の割合

ATPの割合

ATPの割合

3)結果
・経時的には陸凍・船凍ともにほぼ同程度のK値だった.

・-60,-40℃の保管区分で2ヶ月までの貯蔵期間による大きな差は見られなかったが,-20℃ではややK値が高まる傾向が見られた.しかし,2ヶ月目の時点でその差はそれほど大きくなかった.

・陸凍はサンプリング時点でATPがほとんど存在していなかったが,船凍では核酸関連物質中のATPの占める割合が高かったため,ATPの残存率をみると船凍の方が高鮮度であった.

4.今後の予定

 先行研究として,上記に示す通り-60℃の低温でのサバの冷凍を試みた(結果の項参照).
今後は,さらに低温領域(-80℃以下)での冷凍実験を試みる.
装置の開発では,LNGからの冷熱取り出し部の設計,高効率な冷媒の開発,水産物用超低温冷凍システムの開発などが課題となる.