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研究概要

食品製造機器の洗浄と衛生管理

研究機関名

東京海洋大学海洋科学部食品生産科学科食品プロセス工学研究室

http://www2.kaiyodai.ac.jp/~tomoaki/

代表者

﨑山 高明

本研究の主旨

食品生産プロセスでは、製品である食品の品質と衛生を保つため、生産終了後に多くの時間を費やして加工機器の洗浄が行なわれる。洗浄が不十分であれば、機器表面に食品成分が残存し、加工機器の性能低下を引き起こすとともに、その後に製造される食品に異成分として混入する恐れが生じる。また、残存した食品成分が微生物の増殖を促し、その後に製造される食品の安全性を脅かすことになる。このため、十分な洗浄が必須であるが、肝心の洗浄条件は経験的に設定されている場合が多く、必ずしも最適化されているわけではない。洗浄不足に起因する食品事故が跡を絶たない一方で、製品の安全性確保を重視するあまりに過剰な洗浄が行われている場合も少なくないと思われる。不十分な洗浄は論外であるが、かといって必要以上に過大な資源(水、洗剤、エネルギー、労力)を洗浄に費やすことはコストと資源の無駄であり、環境への負荷を増大させることにもなる。したがって、必要十分な洗浄条件を科学的知見に基づいて決定することが重要である。しかし、その決定の根拠となる実証的な洗浄実験データの蓄積と検討は現状においては不十分と言わざるを得ない。
   本研究室では、食品加工機器の食品接触面を対象とした洗浄と衛生管理に関して、現在は主に以下の2つの観点から研究を進めている。

  1. ①食品成分および微生物の製造機器表面に対する付着・脱離特性
    効率的な洗浄条件設定や付着防止技術の確立に寄与することを目的として、タンパク質(特にアレルゲン)や微生物の固体表面(ステンレスなど)に対する付着特性の解析を行う。
  2. ②洗い残しが存在する表面上での微生物の生育と死滅
    機器内の難洗浄箇所において洗浄不十分となった場合のリスク評価のため、固体表面での汚れの残存量と乾燥状況が食品機器表面上での微生物の生育・死滅挙動に及ぼす影響について検討しモデル化を試みる。
本発表では、特に①に関連した「タンパク質の付着抑制方法の開発とそのメカニズムの解明」についての発表を行う。

HEPESおよびリン酸イオン(Pi)がOVAの吸着におよぼす影響

Fig.1 HEPESおよびリン酸イオン(Pi)がOVAの吸着におよぼす影響.
(a)HEPESの構成式,(b)Piの構造式,(c)HEPESまたはPi存在下でのOVAの吸着等温線.


HEPESまたはPi存在下でのLYZの吸着等温線

Fig.2 HEPESまたはPi存在下でのLYZの吸着等温線.

Fig.3 共存イオンならびにタンパク質の種類により吸着量が変化するメカニズム.