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研究概要

米の消費拡大に向けた新機軸の研究開発

研究機関名

筑波大学・生命環境系・食料プロセス工学研究室

http://nc.bsys.tsukuba.ac.jp/member/

代表者

佐竹 隆顕

本研究の主旨

1.米の鮮度計測用μTASの開発研究
  近年,食の安全安心に対する社会的要請は高く、主食である米とてその例外ではない。貯蔵中の米の脂質、蛋白質などの栄養物質は特定の酵素の作用の下で分解され、カビ(アスペルギルス・フラバス)により発ガン物質として高い毒性を持つアフラトキシンが生成される。このため米の鮮度評価には大きな社会的要請がある。米の新鮮度を測る測定法としてpH法,脂肪酸定量法などが知られている。しかし従来の鮮度測定法は、測定に時間とスキルが必要なため実験室内における測定に限られ、測定装置は一般にベンチスケールサイズのものであり携帯して使用することは困難である。一方、μTAS(micro total analysis system)は医療や臨床検査、環境計測等多方面で利用が進んでいるものの、食品の分析には殆ど利用されていない。本研究では、米の鮮度の指標として脂肪酸度を測定するμTASを試作開発した。試作μTASの性能を検証するため2005年から2010年にかけて収穫された玄米と精米の鮮度を測定した。またμTASによる測定に合わせて従来の鮮度評価技術である中和滴定法による測定を行い、測定した脂肪酸度の比較検討を行った。その結果、両者の測定値の間には高い相関(R2 = 0.980~0.984)が認められたことから、開発したμTASは米の鮮度評価技術として可能性を有すると判断された。
2.石臼を用いた食素材の湿式粉砕に関する研究
  現在、新規需要米の食品用途として、米粉の製造およびそのパンや麺、洋菓子への加工利用が検討され、新規需要米の新たな食品利用が模索されている。本研究で着目した湿式粉砕は、粉砕機に水を加えながら材料破砕を行う、いわゆる「水挽き」と呼ばれる方式であり、粉砕物の微粒化促進・熱変性の抑制などの利点が知られている。発表者は、水挽きされたコメが乳白色を呈することから、栄養素の補填や機能性の付与、物性の改変等により、牛乳のような液状食素材としての利用可能性があることに新たに着目した。本研究では、連続的な湿式粉砕が可能なプロセスとして、せん断力と圧縮力による微粒化の期待できる石臼に着目し、それを用いた粉砕システムを新たに構築するとともに、その湿式粉砕の特性を実験的に明らかにして、コメのスラリー状新食素材の創出を試みた。研究の結果、規需要米である北陸193号のスラリー化を行い、浸漬した玄米から平均径4.2㎛ の微細粒子からなるコメスラリーを加工する技術を確立した。これにより液状化したコメに対するGABAの富化も可能となり、浸漬玄米(高胚芽品種)100gあたり最大で50㎎強のGABAを生成できることが示された。

TASの概要

Fig.1 μTASの概要



電動湿式石臼

Fig.2 電動湿式石臼