出展のご案内

研究概要

水熱処理による黒酵母(Aureobasidium pullulans )培養液からの
βグルカン精製粉末の製造

研究機関名

佐賀大学・農学部・生命機能科学科・生物資源利用学研究室

http://www.ag.saga-u.ac.jp/japanese/app_biochemi_food/app_biochemi_food.html

代表者

林 信行

本研究の主旨

  β1-3,1-6グルカンは免疫賦活活性を有する機能性多糖類で、特に霊芝の煎液が漢方薬として古くから用いられてきた。霊芝煎液はβグルカンの他にトリテルペンなどの生理活性物質を含むが、非常に高価で生産量も少ない。その一方で、約20年前、黒酵母と呼ばれる不完全菌 Aureobasidium pullulans が、培養条件を工夫することにより培地中に高濃度でβ1-3,1-6グルカンを生産することが明らかにされ、安価なβ1-3,1-6グルカンの生産法が特許化された(特許1681333)。本特許は既に期限切れとなり、近年は数社が A. pullulans による発酵生産を行うようになっている。しかしながら、その商品形態は全てが発酵培地を加熱殺菌した液状商品がほとんどである。このことの最大の原因は培養によって得られるβ1-3,1-6グルカンが幅広い分子量分布を持つ菌体外高分子多糖(分子量百万以上)であるため、培養液の粘度が非常に大きく、生卵の卵白様の物性を有することに起因している。即ち、培養液が呈する卵白様の物性が、沈殿分離や遠心分離、膜分離などの種々の分離法を寄せつけず、酵素処理や超音波処理など種々の粘性低下方法が試みられたものの全て失敗に終わり、目的多糖を分離精製するに至っていないことが最大の理由である。当研究室では、長年行ってきた多糖の水熱処理の経験を生かし、培養液の高温高圧処理を行ったところ、145℃以上の条件で粘性が著しく低下することを見いだし、さらに、に凝集剤の併用で高濃度処理が可能となって効率が向上する事を明らかにした(特開2011-103877)。その結果、培地中に残存する菌体や米ぬか、グルコースなどの容易な分離除去が可能となり、初めて高純度の乾燥粉末を製造できるようになった。アカデミックプラザでは、高粘性培養液の高温高圧処理条件と装置の紹介、および、得られた精製品の展示を行いたい。

水熱処理による黒酵母培養液の粘性低下挙動

Fig.1 水熱処理による黒酵母培養液の粘性低下挙動

黒酵母βグルカン水溶性パウダー

Fig.2 黒酵母βグルカン水溶性パウダー