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研究概要

食品殺菌の評価法を考える -損傷菌制御戦略と技術開発

研究機関名

関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 生物制御工学研究室

http://tsu-lab-main.blogspot.com/

代表者

土戸 哲明

本研究の主旨

  最近の食品殺菌工程では、ミニマムプロセッシングの適用が好まれ、マイルドな条件での殺菌処理によって品質の向上を図る技術が導入されています。しかし、この食品品質重視の方法では、処理中に死滅に至らず、生か死かが明確に決定されていない損傷菌が発生します(Fig.1)。この損傷菌をどのように数え、どのように制御するかは重要な問題です。殺菌効果の評価やラボスケール、パイロットスケールでの実験での生残菌の計数にあっては、できるだけ損傷菌を蘇生させて生残菌数を多く見込み、信頼性の高い殺菌条件を設定します。現場での殺菌処理では、それらの損傷菌をできるだけ即死させ、それが無理な場合は損傷菌の回復を阻害し、その後の発育による腐敗や食中毒のリスクを低減させます。
  ここでは、当研究室の研究成果を含め、損傷菌の計数に関わる微生物の生死判定方法を概観するとともに、(1)殺菌の目標水準達成の視点から損傷菌の損傷拡大・回復阻止の技術、また、(2)生残菌検出の立場から損傷菌の蘇生技術、さらに、(3)損傷菌の計数技術、を紹介します(Fig.2)。(1)では損傷菌を抑制・阻止するために、殺菌条件の強化による即死菌化、前処理による殺菌処理感受性化、他の方法との同時併用処理による相乗効果の発生、後処理による回復抑制、2次損傷発生による損傷拡大、保存・流通段階での回復・発育抑制、細菌胞子の場合は発芽能損壊の方法があります。(2)においては、損傷菌を極力多く計数するために蘇生させることを目的としたいくつかの技術を述べます。そして、(3)では、増菌法と非増菌法それぞれの原理に由来する損傷菌の定義に基づいた損傷菌の計数方法について論考します。

殺菌処理中・処理後の微生物細胞の状態変化

Fig.1 殺菌処理中・処理後の微生物細胞の状態変化

損傷菌に対する復活と殺滅の方法

Fig.2 損傷菌に対する復活と殺滅の方法