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研究概要

通電処理による地域野菜(中島菜)の特性変化

研究機関名

石川県立大学・生物資源環境学部・食品科学科・食品加工学研究室

http://www.ishikawa-pu.ac.jp/index.html

代表者

野口 明徳

本研究の主旨

能登地方の伝統野菜である中島菜はペースト化に続く60 ℃,30min加熱で血圧上昇抑制効果がさらに強化されることが判明している. この効果は,アンジオテンシンⅠ変換酵素(以下ACEと略す)活性阻害能の増強が原因であり,細胞破壊に伴う局在成分の会合が主な機構と考えられる.素材としての中島菜は多様な形態が求められており,特に消費者の認識を得るために原形を留めた機能性強化素材の開発が強く求められている.そこで,本研究では細胞に微少な損傷を与えうる電気穿孔に着目し,その有用性を検討した.また,対比する形で凍結障害および温度調節としての通電加熱の有用性ならびに有用成分の回収向上に向けて,電気穿孔に続く電気浸透を検討した.
1. 電気穿孔処理(処理条件と特性変化) 1-1)外観でほとんど差異は観察されないが,細胞内部で大きな変化が観察された(Fig.1).
1-2)ACE活性阻害能は上昇した.
1-3)電気穿孔の電圧,回数の影響では増加に伴い効果も上昇し,3000V/㎝,30回において最大の効果が得られた.また,この値は理論値とほぼ一致していた.
1-4)パルス巾10~100㎲,パルス間隔100~500㎳ および試料量の増減において,電気穿孔効果に大きな差異が認められず,電気穿孔電源部の簡易化および処理スケールアップが容易と思われる.
1-5)処理時の温度の影響は低温でやや電気穿孔の度合いが減少する傾向を示し,細胞膜の脂質流動性と電気穿孔の発生度合いとの間に何らかの関係が有る事を示唆している.
2. 通電加熱については,昇温が可能であり,中島菜の通電加熱は可能である.40℃維持での加熱では湯浴加熱に比べて通電加熱時で原形質流出が著しく,その効果は低周波数でより強まることから,通電加熱時に軽度の電気穿孔が発生している事を示唆している.
3. 凍結処理では原形質流出が観察され,葉の光透過性が大きくなることから,部分的に大きな細胞損傷が生じているものと考えられる.
4. 電気穿孔処理前後で,フードプロフェッサーで細断した中島菜を一定荷重で搾汁し,次いで電気穿孔を適用したところ,電気浸透の有用性と前処理としての電気穿孔の搾汁向上効果を確認した(Fig.2).

中島菜の細胞変化

Fig.1 中島菜の細胞変化(左:未処理、右:電気穿孔)

各種処理後の中島菜(葉)の含水率

Fig.2 各種処理後の中島菜(葉)の含水率
粉砕はフードプロセッサー処理 未処理(飽和)は室温30分水浸漬時