研究概要

天日干しが旨い理由を解明し、旨み成分と機能成分を増大させる光照射乾燥法

研究機関名

八戸工業大学 大学院工学研究科 機械生物化学工学専攻 食品科学工学研究室

http://www.mech.hi-tech.ac.jp/kikai/kenkyuu/k.aokiken.htm

代表者

青木秀敏

本研究の要旨

1.研究の要旨
  現在、農水畜産物の乾燥はほとんど温風乾燥法で行われている。一方、昔からの天日干しは天候に左右されるが、温風乾燥品より美味しいと言われている。その理由の一つが太陽光線の中でUV-Aのような波長の短い光の効果であることを実験的に証明し、UV-Aを人工的に照射することで天日干しの旨さを超える乾燥物を製造できることを突き止めた。さらに、アミノ酸だけでなく、イノシン酸などの核酸、GABA等の生理活性物質、ポリフェノールなどの抗酸化性も光照射で増大することを明らかにした。
  UV-A照射乾燥法は全国各地で産出されるさまざまな農産物、水産物、畜産物に適応可能であり、装置内で天日干しの旨さを超え、健康成分も増大させる新しい乾燥法と言える。

2.UV-A照射乾燥の特徴

    ① 味
      一例として、UV-A照射温風乾燥した籾のぬか層に含まれる16種類の遊離アミノ酸総量を温風乾燥、天日干しと比較してFig.1に示す。ぬか層には遊離アミノ酸が多量に含まれているが、UV-A照射乾燥の場合、天日干しの約1.1倍増加した。白米の食味試験でも天日干し米より味が若干良くて軟らかく、粘りが強く、総合評価でも良いという結果が得られた。UV-A照射乾燥物の味を一言で表現すると、“コクのある旨み”である。
    ② 表面の色
      UV-A照射すると表面の色が白っぽくなり、見栄えが向上する。例えば、桜エビを温風乾燥すると、いかにも加工品といったピンク色になってしまうのに対し、UV-A照射乾燥は天日干しのように自然な薄いピンク色を再現する。
    ③ 鮮度保持
      SPC法で測定した UV-A照射乾燥スルメの生菌数は非照射温風乾燥の場合の概ね1/30以下になった。 紫外線は殺菌効果を保持しているので、鮮度保持には効果的であり、保存性が増し、日持ちも向上する。
    ④ UV-A効果(鮮度、温度)
      UV-A照射効果は鮮度が良い程UV-A照射効果が大きく表れ、実際に冷凍品に比べ生鮮品のアミノ酸量増大効果が大きく表れ、5℃程度の低温下の場合でも遊離アミノ酸量が1.4倍増加している(Fig.2)。

3.想定される用途
  イカ、・アジの干物のような乾物、桜海老、アワビのような水産物、昆布、ワカメ、海苔のような海藻類、椎茸、マツタケのようなキノコ類、干し柿、干しブドウのような果樹類、お茶、籾等の穀類、切り干し大根のような野菜類、せんべい等の農産物加工品、食品の貯蔵等、水産物から農産物まで幅広く適用可能である。

4.期待される経済効果
  UV-A照射乾燥法を鮮度が良い程効果が大きく、地域の農林水産業から特産品を生産・販売することにより、地域活性化に貢献し、第6次産業化に向けた新市場が創出される。

籾のぬか層の総遊離アミノ酸量

Fig.1 籾のぬか層の総遊離アミノ酸量

乾燥時におけるアミノ酸含量変化(イカ・5℃)

Fig.2 乾燥時におけるアミノ酸含量変化(イカ・5℃)



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