研究概要

水を用いる潤滑技術

研究機関名

(独)産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 トライボロジー研究グループ 表面機能デザイン研究グループ

代表者

加納誠介

本研究の要旨

【研究の分野と目的】
  当研究グループでは環境および生体に優しい潤滑システムの開発を目的として、水潤滑摺動システムの開発とテクスチャリングによる機能性表面の創製を行っている。また、摺動面への周期的なパターニングやランダムなテクスチャリングを施す事によって、平滑面に比べて摩擦抵抗を低減し安定化させることにより、機器の運転効率を向上して省エネルギー化を図っている。

【研究の成果】
・水を用いる潤滑技術(DLC膜) 1)〜3)
  水を用いたトライボシステムが構築できれば、水は自然界に存在する安全な流体であり、また廃棄時にCO2を出さないことからも、安価で環境にもやさしいシステムが期待できるが、水の高い反応性や低粘性のために、新たなトライボマテリアルの開発が必要である。ここでは、DLC膜を使ったトライボシステムを構築する試みについて紹介する。本研究ではプラズマCVD法をもちいて、鉄系基板にDLC膜を作製し、SUSとの摩擦摩耗特性を検討した。空気中および水中での摩擦挙動をFig.1に示した。DLC膜は水中で安定した低い摩擦係数を示し、また比摩耗量も十分小さいことを明らかとした。さらに、中間層の最適化を行い、高荷重下でもはく離を起こさない皮膜の開発を行った。
・水を用いる潤滑技術(材料の探索) 4)
  本研究ではアルミニウムの水潤滑に適した相手材の探索を行った。アルミニウムの相手材として水潤滑性に優れたSiC, アルミニウムの摺動相手として広く用いられているステンレス鋼及び同種材料であるアルミニウムを選んだ。これらの相手材とアルミニウムを水中で摩擦試験した。アルミニウムの摩擦・摩耗は相手材質によって大きく異なり、特に摩耗では100倍以上の差が生じた。今回行った試験では、アルミニウム/SiCの組合せが最も摩擦・摩耗が低かった。
・機能性表面の創製 5)
  潤滑特性を改善するためには、適応する摺動面に対する潤滑剤の設計が重要であることは言うまでもない。一方で、適用した潤滑剤が設計通りの性能を発揮している間は問題ないが、潤滑剤または摺動表面の劣化や運転条件の変化によって、設計通りの摩擦特性から外れる場合もある。この場合、摺動表面に機能性を持たせ、潤滑剤の性能をより広い運転条件で発揮できるようにすれば、機械システムの早期損傷を避けることができる。この表面機能化のひとつが表面テクスチャリングである。
  本実験では、2枚の平行平板を油潤滑下で摺動させ、摩擦係数を測定した。平板試験片の寸法は80×80mm、材質はFC250で、実験条件として荷重700N、潤滑油粘度はISOVG68で一定とし、摺動速度を変化させて摩擦係数を測定した。試験片表面にはFig.2(a)に示すティンプル形状のテクスチャをサンドブラスト法で加工した。ディンプルサイズはDimple-1が直径50μm、深さ2μm、間隔50μm、Dimple-2が直径1mm、深さ20μm、間隔1mmである。平滑面と摩擦係数を比較した結果をFig.2(b)に示す。平滑面に比べ、混合流体潤滑領域で摩擦係数が減少し、混合流体潤滑領域が拡大した。即ち、摩擦係数低減による省エネ効果が得られていると同時に、速度変化に対する摩擦力変化が緩和されており、より広い運転条件に対して良好な摩擦特性を示すことが明らかになった。

【参考文献】
1) Tribological properties and characterization of DLC films deposited by pulsed bias CVD, T. Ohana, T. Nakamura, M. Suzuki, A. Tanaka, Y. Koga, Diamond Relat. Mater., 13 (2004) 1500.
2) DLC膜の水中でのトライボロジー特性、大花、NEW DIAMOND, 21(2005)6.
3) DLC膜のトライボロジー特性、大花、NEW DIAMOND, 26(2009)35.
4)炭化ケイ素, 鋼およびアルミニウムと摩擦したアルミニウムの水中での摩擦摩耗特性, 日比、トライボロジスト, 55, 10(2010)753-762.
5) Effects of surface texture size on the tribological properties of slideways, H. Ogawa, S. Sasaki, A. Korenaga, K. Miyake, M. Nakano and T. Murakami, Proc. IMechE 224J(2010), 885

DLC膜の空気中および水中での摩擦

Fig.1 DLC膜の空気中および水中での摩擦

テクスチャリング表面形状と摩擦特性

Fig.2 テクスチャリング表面形状と摩擦特性



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